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鍵がカギで無くなる日

この記事はアピリッツの技術ブログ「DoRuby」から移行した記事です。情報が古い可能性がありますのでご注意ください。

先日、米国で開催された「Hackers on Planet Earth 2012」で、とあるデモが行われた。

このデモは、3Dスキャナと3Dプリンタを用い、カギを複製する物だった。

3Dプリンターは、安い物では10万円前後で買うことが出来、1つあたりのコストもわずか数十円とお手軽である。大きな物を作ることは出来ないが、手のひらサイズなら問題なく作成できる。この3Dプリンターは、底辺から輪郭を含めて、すべてを「印刷」することで、オブジェクトを作成する。こうして作成されたオブジェクトは、通常の彫刻や削りでは再現することが難しい、完全につなぎ目の無いモノを作成することが出来る。

次に、3Dスキャナー*1だが、見たモノを見たままに、3Dとして記憶することが出来る。このプリンターと先ほどの3Dプリンターを用いることで、完全にうり二つのモノを作成することが容易に出来る。

 カギの脆弱性

カギが物理形状を成している以上、3Dプリンターの前では、なすすべが無い。

たとえば、ピッキング対策として、採用されているディンプルキーと呼ばれるカギですら、3Dプリンターと3Dスキャナーを組み合わせれば、いとも簡単に同じモノを複製することができる。もはや、物理形状の複雑さだけでは、家を守ることが出来なくなっているのかもしれない。3Dプリンターといえども、磁気情報やIC情報、電波などの物理的に見えるモノ以外の情報を複製できない。もし、真剣に守りたいなら、ディンプルキーではなく、ICカードや磁気カードなどを複数組み合わせたモノを採用する必要が出てくるのかもしれない。

 日本独自のカギ文化

日本独自と言っても過言では無いカギがある。それは、多くの金融機関で採用されており、他国ではほぼ採用されていないもの。そう、印影である。

印影が一致しない限り、現金を引き出すことが出来ない。逆に言えば、印影が一致すれば、現金を引き出すことが出来るもの。それが印影で有り、印鑑だ。通常、印影は印鑑と対になっており、「印鑑をお持ちください」と言われれば、すなわち「印影」を示すことが多い。こうした印影は、当然のように3Dプリンターと3Dスキャナの前では、為す術無く複製されてしまう。欧米のように、簡単には複製できない、筆圧や書き順などに対応した、署名に移行する時期も近いのかもしれない

*1: 安いモノで、300万円ほどする

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