ホーム デジタルマーケティング アナリスト 10分で大体わかる!「Googleオプティマイズ」
10分で大体わかる!「Googleオプティマイズ」
 

10分で大体わかる!「Googleオプティマイズ」

1.はじめに

はじめまして。2021年新卒の手塚です。手塚健介です。

昨年終わりごろからインターンとしてアピリッツに勤めておりまして、いくつかのサイトのアクセス解析を担当したり、ヒアリングの場に立ち会ってきました。その中で印象深いことというと、クライアントから「サイトをリニューアルして、売上を伸ばしたい」といったお声が多かったことでした。

さて、ECなどのWebサイトのデザインを改善するとき、最も不安になることといえばなんでしょうか。

答えは「作成したページは本当に使いやすいのか」です。

色々時間と費用をかけてサイトをリニューアルしても、いざ公開した際にこれまでよりアクセスが伸びない、ましてや売上が落ちたらリニューアルした意味が無くなってしまいます。先述のクライアントの方々も、そうした不安を抱えていました。

そこでUIやデザインのリニューアルを行ったことでWebサイトが本当に使いやすくなったのかどうかを知りたくないでしょうか?

こういった場合、「A/Bテスト」というサイト改善効果を確かめるWebテストを行うことが有効です。

ただ、「A/Bテスト」を行うには、

  • 訪問ユーザーの振り分け
  • アクセスデータの計測
  • サイトの成果の自動最適化

以上の3つの課題がありました。これらをクリアするには高い開発力やデザイン力、分析能力が求められます。そのため自社内だけでテストを完結させることは難しく、工数も費用もかさんでしまいました。結果として「A/Bテスト」を行うことができた企業は限られていました。

しかし、「Googleオプティマイズ」というツールが登場したことで誰もが簡単に「A/Bテスト」を行えるようになったのです。実際、「Googleオプティマイズ」の導入を現在検討中ないし実装に向けた準備を始めてくださったクライアントもいらっしゃいます。

今回は、「10分で大体分かる」をモットーに新卒の目線から「A/Bテスト」そして「Googleオプティマイズ」の強みについて、これからWebをよりよくしていきたい!という方のためにご紹介します。まだすべての機能を使いこなせているとはいえない勉強中の身ではありますが、よろしくお願いします。

2.「A/Bテスト」とは?

1)「A/Bテスト」の概要

「A/Bテスト」とは、Webサイトを制作、改良する際に行われる工程の一つで、「同じページで複数のパターンを用意し、どちらがより良い結果を得られるか」を検証するテスト手法です。

例えば、あなたはECサイトの管理人で、サイトの売り上げ向上のためにTOPページを改良したいとします。この時、元のページのデザインをパターンA、パターンAから一部を変更したページをパターンBとします。

「A/Bテスト」では、サイトを訪問したユーザーに対してこの複数パターンあるページをランダムに表示します。その結果、ユーザーはパターンB、改良したときの方が購買行動が活発になることがわかりました。これで安心してサイトのリニューアルは効果的だということがわかり、サイトのリニューアル版を自信をもって公開することができました。

まとめると以下のようになります。

  • 「A/Bテスト」とはWebサイトを制作、改良する際に行われる工程の一つ
  • サイトの改案が本当に効果があるのかどうかを検証するために必要な工程

2)「A/Bテスト」の特徴(多変量テスト)

サイトのリニューアルは一部分を変えるだけにとどまりません。特集したい商品の見出しや、商品画像の組み合わせをテストしたいことも多いでしょう。ただし、一つ一つの組み合わせを「A/Bテスト」で判断していては余計な時間とコストがかかってしまいます。

そうした場合におすすめな手法が「多変量テスト」です。

「多変量テスト」は、複数の要素を変更したいときに「どの組み合わせが最良の結果をもたらすか」を検証するテスト手法です。同時に複雑な組み合わせをテストすることができるため、デザインの相互作用により、より多くの情報を得ることが可能となります。そのため、中規模~大規模のサイトリニューアルを行いたい場合で有効なテストといえます。

まとめると以下のようになります。

  • 「多変量テスト」とは複数要素の組み合わせを同時にテストし、最良の結果が得られる組み合わせを検証する手法
  • デザインの相互作用からより多くの情報を得られる

3.「Googleオプティマイズ」とは?

Googleオプティマイズ公式ロゴ。 めっちゃ格好いい。

1)「Googleオプティマイズ」の概要

「Googleオプティマイズ」を簡単に説明しますと、「Googleが提供している基本無料で誰でも利用可能なテストツール」です。Googleのアカウントさえあれば、個人、法人関係なく誰でも「A/Bテスト」を実施することが可能です。

「Googleオプティマイズ」はブラウザ上のレイアウトやテキストなどを、直感的な操作で編集することができ、編集した要素の「A/Bテスト」「多変量テスト」を簡単に行うことができます。また、「テストを行う対象ユーザーのターゲティングが可能」であり、例えば都内からのアクセスに対してのみテストを実行したり、20~30代の年齢層に対してのみテストを実施したり、などが可能になります。こうしてWebサイトの最適化を手軽に行うことが可能です。

よって現在、「Googleオプティマイズ」は「A/Bテスト」を行ううえで広く用いられいる一般的なツールです。

2)「Googleオプティマイズ」のメリット

「Googleオプティマイズ」を使う際のメリットは以下の5つです。

①無料ツールである

「Googleオプティマイズ」は、他のGoogleが提供するGoogleアナリティクスや、Googleタグマネージャーと同様に、Googleアカウントさえあれば基本的に無料で利用可能なツールです。他にもWebテストが行えるツールがありますが、その場合有料になってしまったり、無料ツールだとしても機能が少ない場合が多いです。

無料なのに多機能で使いやすい。これが「Googleオプティマイズ」の大きな強みです。

②Googleが提供する他ツールと連携可能

「Googleオプティマイズ」は、それ単体ではほとんど意味がありません。テストを実施し、結果を得るには「Googleアナリティクス」と連携する必要があります。

Googleアナリティクスとは、Webサイトのアクセス状況を収集する解析ツールです。アナリティクスと連携することでテストの実施、結果の集計が可能となります。他にも、ネット広告の成果の解析や広告管理を行えるツール「Google広告」と連携することでテスト時のターゲットとして広告から訪問したユーザーを指定できます。

このように、Googleの他ツールと連携することで、テストをより効果的に行えるわけです。

③実装に必要な工数・コストを削減

「A/Bテスト」「多変量テスト」を行う際、もし「Googleオプティマイズ」を使用しないと、テストの実施難易度はぐっと跳ね上がります。

例えば

  • テストの度に制作会社に依頼する必要があるため、費用が生じる
  • テストページを用意する必要があり時間がかかる
  • サイト改変による売上低下のリスクがある

以上の課題があり、簡単に実施できるものではありませんでした。

「Googleオプティマイズ」は最初の設定・導入さえ行えば、あとはスムーズにテストが可能となります。そのため、自社内でもテストが行えるようになり、テスト実施までの工数と費用の削減が実現します。

④テスト結果の集計・比較が容易

「Googleオプティマイズ」では実施したテストの結果は自動で集計され、簡単にレポート作成できます。さらに、重要なテストの指標とである「セッション数・コンバージョン数・コンバージョン率」をひと目で比較可能になりました。

⑤SEO・広告スコアに影響しない

「Googleオプティマイズ」は、URLを改変することなく「A/Bテスト」を実施できます。そのため、URL情報が大きく影響する検索結果の順位や、WEB広告にも影響を与えません。テスト中のアクセスはテスト前同様、オリジナルのページに対する評価として集計されます。

3)「Googleオプティマイズ」のデメリット

ここまで、「Googleオプティマイズ」のメリットをご紹介しましたが、いくつかデメリットも存在します。とはいっても、ここで紹介するデメリットは対策可能なものであり、大きな問題になることは基本的にありません。

「Googleオプティマイズ」のデメリットは、以下の2つです。

①テスト中のユーザビリティ低下リスク

ユーザビリティとは、国際規格では「ある製品を、特定の利用者が、特定の目的を達成しようとするにあたって、特定の状況で、いかに効果的に、効率的に、満足できるように使えるかの度合い」として定義されています。Webサイトにおいては、「サイトの分かりやすさ」を示す指標の一つということです。

「Googleオプティマイズ」を用いてテストを行っていると、ページの読み込み速度の低下、画面のちらつき(フリッカー)が生じる恐れがあります。こうした現象がユーザビリティの低下を招き、セッション数や、コンバージョン数などが低下、結果的に適切な計測ができなくなる可能性があります。

この問題の対策は、サイト内に以下のような「アンチフリッカー スニペット」と呼ばれるタグを設置することです。

(例)

このタグを埋め込むことで上記の問題を軽減することが可能になります。

②テスト後の効果検証が不十分となる恐れ

先ほど紹介したメリット④「テスト結果の集計・比較が容易」と一見すると矛盾するこのデメリットですが、実際のところほとんど問題にはなりません。

といいますのも「Googleオプティマイズ」単体ではテスト後の検証が難しいという点は確かにデメリットですが、こちらはGoogleアナリティクスと連携することで定量的な検証が可能になるうえ、設定時にアナリティクスとの連携が必要になるため、ほぼデメリットとは言えないものです。

ここまでデメリットについてお話ししましたが、まとめると

  • テスト中はアクセス時に問題が起きることがあるが、タグ設置により修理可能
  • 「Googleオプティマイズ」単体ではほぼ意味がないが、アナリティクス導入で解消される

以上のように、比較的容易に解消できるものといえます。

4.「A/Bテスト」「多変量テスト」の進行イメージ

ここまで、テストについて、「Googleオプティマイズ」についてご説明しましたが、実際にテストを行う際、どういった流れで進めていくのでしょうか。

今回はアピリッツが過去に「Googleオプティマイズ」を使ってテストした際の流れをアレンジしたものをもとにお話しします。

そのため、以下の工程の期間は案件の規模によって変動します。

1)要件定義

要件定義では

  • テスト対象ページ
  • 実施するテスト
  • 作業工数
  • 各作業担当者
  • テストの目的

を定め、要件定義書としてまとめます。

これが今後の作業のベースとなり、1~2週間程度かけて行います。

2)仮説立案

①と同時に行われることもあります。

この工程では、ユーザビリティ向上のためにどのようにサイトを改善するか、といったより具体的な方向性を定めていきます。

この工程は3~5日程度かかります。

3)パーツ作成

仮説が決まったら次は仮説に応じたデザインパーツや、フレーズを考えます。

この工程は規模にもよりますが、長くとも1か月程度を想定します。

4)実装

ここまでの工程で決めたことを実際に「Googleオプティマイズ」で実行します。

③で制作したデザインパーツをツール用に調整したうえで、「Googleオプティマイズ」の管理画面を設定し、実際にテストを開始します。

この工程は設定、テスト開始までのため、1日で可能です。

5)効果測定

実装からある程度期間をあけて、蓄積したデータに基づき目標を達成したかどうかを分析する工程です。

導き出した結果の要因分析を行い、問題なければテスト終了、さらに改善可能な場合は次のテストに向け、工程②「仮説立案」を再び行います。

テスト期間を含めて、最低でも1か月余はかかる工程です。

こうして②~⑤の工程を繰り返すことでWebページが最適化されていきます。基本的には以上の工程でテストは終了ですが、アピリッツではさらにもう1つの工程を実行いたします。

6)レクチャー

ここまで進めてきた工程や、「Googleオプティマイズ」についてなどの知見を踏まえ、今後類似した「A/Bテスト」「多変量テスト」を行う際はアピリッツを介さずともある程度クライアント内で完結できるようにセミナーを実施いたします。また、アピリッツはその後もテスト実装だけでなく、運用時のサポートデスクとしても対応します。

こちらは任意の1日を期間として設定しました。

ここまでをまとめますと、次の通りです。

  • 要件定義でサイト改善の方針やコストを定める
  • 仮説検討でより具体的な仮説を設定する
  • そののちにデザインパーツを制作する
  • 実際に導入し、テスト開始
  • 本当に効果があったかどうかを検証
  • 最適解が見つかるまで仮説~検証を行う
  • 内省化できるようにサポート体制を整える

5.おわりに

今回は「A/Bテスト」「Googleオプティマイズ」について、なるべくざっくりご紹介しました。

「A/Bテスト」はもともと、複数の企業と連携しながら進行するため、工数も費用も多くかかってしまい、多くの企業で実施することが困難な作業でした。ですがこの課題は「Googleオプティマイズ」の登場によって解消し、多くの企業だけでなく、個人でWebを運用している方にも「A/Bテスト」が浸透するようになりました。

もしこの記事を通して「Googleオプティマイズ」にご興味を持っていただき、実際に始めてくださる方がいらっしゃれば幸いです。そのうえで運用においてご不明点が生じたり、今よりもサイトを改善していきたい、と思われる方はアピリッツにお声がけください。

アピリッツは、Webコンサルタントとして「Googleオプティマイズ」を用いたテストのご提案だけでなく、テスト時に必要なデータ基盤構築、アクセス解析、デザインパーツの制作などもできるメンバーがそろっており、より効率的にWebサイトが改善できるようご支援いたします。

記事を共有

最近人気な記事