山田アイコ、発信します!
今回は、アートディレクターとして活躍する『本間 尚子』さんに、アートディレクターの仕事内容や、需要の高さについて教えてもらいます! 本間さんは現在子育て真っ最中のお母さんでもあります。お仕事と育児の両立についてもお話してもらいました。
アイコもカスタマサポートと記者の両立に奮闘中なので、本間さんの育児と仕事の両立がとっても気になります!
本間さん、今日はよろしくお願いします!
アイコちゃん、こちらこそよろしくお願いします!
本間 尚子
2016年8月オンラインゲーム部(現:エクスペリエンスデザイン部)デザイナーとして入社。
現在は主に2Dイラストやゲーム素材のアートディレクター業務を行っている。
アートディレクターってどんな仕事?
まず、アートディレクターのお仕事内容について教えてください!
最初に、どういうゲームを作りたいのかをプランナーやディレクターに聞いて、どんな素材が必要とされているのかを把握します。
その次は、開発の状況にもよりますが、たたき台のイラストを自分で描いたり、もしくはその作業を他の人にお願いして、こちらが監修をおこないます。案件のスタート時はこんな感じになります。
素材? 部分ごとにアートディレクターさんは分かれているものなんですか?
はい!色んな種類のアートディレクターがいるんですよ。
エフェクトだったり、3Dだったり……私のディレクションの範囲は、絵素材とか、絵を描くことですね!
デザインのお仕事って種類が沢山あるんですね!
案件がスタートしたあとは、どういったお仕事をするのですか?
メンバー向けにデザインの指示書を作成します。
先方とデザインの方針について確認し、OKが出ればそれを指示書にまとめるんです。そして他のデザイナーに共有して作業を割り振ります。
そのあとは、各デザイナーの進捗管理や修正指示などのクオリティ管理を行っていきます!
アートディレクターとして指揮を取る
なるほど~!指示と、制作物のチェックが主なお仕事になるんですね!
そういえば「アートディレクターは需要が高いお仕事」と伺ったのですが、それはどうしてなのでしょうか?
デザイナーとして入社する人は、大抵の場合『クオリティの高い絵を描きたい』と考えています。”実際に手を動かして、作業をしたい人”と呼べばいいのかな……。
もちろん”アートディレクター”という肩書きに憧れる人は少なくないはずです。でもアートディレクションを行うということは、“実際に手を動かす”ことからは少し遠ざかるので……そこで悩んで、アートディレクターというキャリアを選ばない人はいるかもしれません。
では、本間さんは、どうしてデザイナーからアートディレクターになったのですか?
目指してなったとは少しちがうんです。
私はアピリッツの前にもコンシューマーゲーム会社で2Dデザイナーを6年していました。その後もしばらくフリーでゲーム業界にずっと携わったり。アピリッツにはまだ業界歴の長い人が少なくて、だから自然と業界経験がある自分がアートディレクターを務めることになりました。
でも、自分が今後どうしていきたいかを考えた時、いち作業者として手を動かすより、アートディレクターとして指揮をとることの方が楽しいかもと思ったんです。だから指名されたときは新しい世界が見えるとわくわくしました!
本間さんのアートディレクション術
アートディレクターに必要なスキルはどんなものでしょう?
コミュニケーション能力が重要です。黙々と絵を描くのではなく、プランナーやディレクターや、いろんな相手と会話しながら進めないといけないポジションなので。それに、作業するデザイナーに自分が持ってる情報を正しく伝えることも大切ですよね。そういう意味でも、コミュニケーション能力は絶対必要になります。
コミュニケーション能力!!
本間さんがコミュニケーションを取るときに気を付けていることがあれば、ぜひ教えてください!
主観で物を言わない、抽象的な表現を避けるでしょうか。
例えばですが、「かっこよく描いてください」と指示をするのってすごく主観的で抽象的だと思いませんか?
たしかに!
アイコの”かっこいい”と、色んなものを見てきた本間さんが思う”かっこいい”は、きっと違いますもんね~。”かっこいい”って、相手にどう説明したらいいんでしょう。うーん、難しい……。
難しいです……。頭の中で思い浮かべるイメージってみんな違うと思うので、今求められている”かっこいい”はこういうことなんですよっていうことを客観的かつ具体的に伝えるために、資料を添えたりしますね。とにかく相手に伝わるようにと心がけています。
あとは、彼らのアウトプットを尊重するようにしています。
指示の際は、意見の押し付けや否定にならないように、言葉選びに気をつけます。「そうじゃない」とか「絶対こういう風にして」っていうよりは「もっとこうした方が良くなるかもね」みたいな。みんなが伸び伸びと働けるようになってほしいので。
皆に開発現場の楽しさを感じてもらう
本間さんがお仕事で大切にしていることを教えてください。
ゲームは1人では作れませんので、先程お話した「アウトプットを尊重する」のように、周囲のモチベーション管理を特に大切にしています。前向きで楽しい気持ちで取り組める環境作りを目指しています。
ゲームって楽しいものですよね。だから、楽しいものを作る現場は楽しいほうが良いという考えです。
素敵な考え方……!
その他に、今、力を入れて取り組んでいることはありますか?
意識的に仕事を人に渡して、”できる人間”を増やせるように取り組んでいます!
“自分でやった方が早い”は組織の成長にはならないので。だから、メンバーを信じて仕事を渡していく経験を、自分もさせてもらっている感じです。
あとは情報の交通整理や先方とのやり取りなどは、まだ若手だけでは難しいかもしれないので、自分がサポートとして力を入れている部分だと思います。
若手のみなさんには、どういう風に育ってほしいですか?
いろんなことに挑戦する心を持ってほしいですね。デザイナーという職種には、需要の高い低いがあります。そもそも”絵を描きたい人”はたくさんいるので、“絵しか描けない人”は需要があまり高くありません。
必要とされない……!
なので、「できる人が少ない部分を攻めていく」とか、「競争率が高くてもその中で生き残っていけるようにする」とか、デザイナーってそういった戦略がないと依頼されず、埋もれて、食べていけなくなっちゃう職なんです。これは自分がフリーだった時に実感しました。だから、デザイナーとしての需要を高める戦略を考えてもらいたいです。
競争の激しいお仕事なんですね……。本間さんにはフリーの時期があったから、「需要」や「戦略」といったシビアな視点が持てたのでしょうか?
そうかもしれませんね!
「会社にいれば仕事がある」という依存した考えにはなってほしくないです。会社で経験をたくさん積んでもらって、食べていける人、つまり稼げる人になってほしいと思っています!
新しいことに挑戦する機会をなるべく作る
本間さんが若手の指導をするとき、どんなことを意識していますか?
本人が目の前の仕事をどれだけ一生懸命やってくれるかにかかってはいるんですけど、作業を振る側も「この子はこういうことがしたいのかな」などを考えて、周りを活かしつつ、ひとりひとりモチベーションを保てるようにしています。
モチベーションは、やはり大切なんですね。
大切です。自分の経験的に、意志がなくただ言われたものだけを作ってると、モチベーションが落ちてくるんです。そうすると、良いものが全然作れなくなってきちゃう。
本人が愛着を持って「もっと良くしていこう」と思ってもらえるようにすると、自然と良いものができてくんじゃないかなと考えているので、色々と工夫しています!
どんな工夫でしょう!?
今回は前の案件とは違うことをやらせてみよう、とか。新しいことに挑戦してもらう機会をなるべく作るようにしています!ただ、どうしても目の前にある仕事を振りがちにはなってしまうので、実際にやろうとすると大変なのですが……。
みんなを助けながら、戦略や工夫も考える。とっても大変なお仕事ですね……
いえいえ!
アートディレクターという仕事はみんなに助けられて成立しているので、自分がすごく大変という実感はあまりないです。メンバーみんながやりやすいように立ち回わらないとな~と強く意識しています。
本間さんがアートディレクターというお仕事で魅力に感じている部分を教えてください!
人の持ってるものを引き出していくのが楽しいです。
今までは、「自分はこういう表現がしたい」とかそういう考えばっかりだったのが、「この人はこういうことが得意そうだな」「この人のここをもっと伸ばしていきたい」と、人のためにどうしようかなと考えられるようになったのは楽しいですね。
「人のため」ってステキです!本間さんの今後の目標を教えていただけますか?
大きな目標としては、今頑張ってくれてるデザイナーにゲーム開発の楽しさをもっと実感してもらいたいと思っています!
「あれを覚えてほしい」というよりは、「楽しい」っていうのをわかってもらいたんです。そうすると自然と自分で考えて自分で行動できる気がしています。自分の描いたものが反映されて、ユーザーから反応が来ることとか……何か楽しみを見つけて、自分の成長につなげてほしいです。
仕事と育児の両立
本間さんのキャリアのお話をきかせてください。フリーの期間があったとのことですが、どうして再び会社で働こうと思われたんですか?
フリーのときは、一作業員のような感じであまり面白くなかったんですよね……。
開発現場って、工夫して頑張っているたくさんの人たちから色んな刺激を受けることができて、自分の成長にも大きく繋がる楽しい場所なので、この楽しい現場に復帰して、なんとか会社の仕事と育児を両立させたいと思ったんです。
お仕事と育児の両立は上手くいきましたか?
今はとても落ち着いて両立ができています。
でも、最初の半年は”仕事をする”というよりは、仕事と育児の両立に慣れるのが精一杯だったように思います。
単純に自分の体力的な問題や、子供の発熱で突然お休みや早退をしないといけなかったのが大変でした。
突然のお休みなどに対して、アピリッツのみんなからの理解はちゃんとありましたか……?
はい!自分が思っていたよりも周りが理解をしてくれて、みんなとても優しかったです。気持ちが少しラクになって、本当に有難かったです。
業務面で大変だと思ったことはどんなことでしょう?
クリエイターはアーティストではありませんので、「必要とされるもの」「使ってもらえるもの」を作る必要があります。案件ごとに求められる絵柄やスキルは異なるんです。
だから、それらに柔軟に対応していけるように日頃から映像作品やイラスト、街中のデザインといったものに興味を持つ必要があります。ゲームをしたり、アニメや映画を観たり。そうやって引き出しを増やすんです。でも、自分の時間が確実に減ったので、その時間を作るのが大変です。
時間が限られているなか、今はどんな風に情報をキャッチしているんですか?
SNSで話題になった作品や、周りの人が「面白かった」と言ったものを素直に取り入れるようにしています。
若いデザイナー達の言うことに耳を傾けるのも大切です。監修の際や、ふだんから会話をたくさんするように心がけているので楽しく情報収集ができています!
デザイナーの皆さんはいつも楽しそうに情報交換していますよね~!
とても微笑ましいです!
そうなんですよ~!
みんな仕事に真面目ですし、とても仲が良いんです。
よかった!本間さんが理想とする職場環境はどういうものですか?
ゲーム業界で働く女の子は仕事に一生懸命な子が多い印象です。だからなのか、「子供が出来たら周囲に迷惑かも、産後復帰できるのかな?」といった悩みを耳にすることがあります。
自分も子育て中ですが、実際どうなるかは正直誰にも分からないので、だからこそこういったプライベートな内容を相談しやすい雰囲気づくりは今後も意識して作っていきたいと思っています。
本間さんのように、仕事と育児を両立しながらサポートをしてくれる方が近くにいることは、デザイナーの皆さんにもきっと心強いことだと思います!!
そうだと嬉しいです!
最後に、アピリッツは育児をしながら働きやすいと感じますか?
私はとても働きやすいと感じています。
子どもを育てながら働く人も増えているので心強いです。
復帰直後は先が見えず「暗中模索」といった感じで心細かったですが、子供がいることに後ろ向きにならず、諦めないで仕事を続けられたのは本当に周りの人たちのお陰です。
甘えず、でも無理はせず、困ったことがあればみんなに相談して、これからも楽しいゲーム開発に携わりたいです。
アピリッツは仕事と育児の両立をしている方の味方です!
様々なサポートでみなさんの仕事を応援します。