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この記事はアピリッツの技術ブログ「DoRuby」から移行した記事です。情報が古い可能性がありますのでご注意ください。
約9年程Googleアナリティクスに関わってきましたが、 最近のクロスドメイン設定は非常に簡単になりましたね。
昔はクロスドメインのリンク一つ一つにタグを仕込む必要がありましたが、今は不要です。
Googleタグマネージャーを利用した設定も簡単なので、
複数ドメインを運用されている方の中では「今まで踏み切れなかったけどやっと導入できた!」
という方も多いのではないでしょうか。
そんなGoogleタグマネージャーを使ったクロスドメイン設定。
じつは、導入してみるととんでもない落とし穴が待っていることがあります。
今回はGoogleタグマネージャーを使った基本的なクロスドメイン設定と
その中でありがちな落とし穴・回避方法をお伝えいたします。
Googleタグマネージャーのクロスドメイン設定方法(通常時)
まずは一般的なクロスドメイン設定方法のご紹介。
大事なポイントは以下の2つ。
- 【設定するフィールド】の【フィールド名】に【allowLinker】、【値】に【true】を設定
- 【クロスドメイントラッキング】の【自動リンクドメイン】にクロスドメイン対象のドメイン名を設定
※Googleタグマネージャーのユニバーサルアナリティクスタグ設定画面
これを設定して、解析対象ページに配信すればOKです。
ちなみに、クロスドメイン対象がサブドメインの場合は、サブドメインを入力してください。
「http://」や「https://」は不要です。
ドメイン入力例:
www.appirits.com,ecm.appirits.com,appirits.co.jp
【クロスドメイン設定の落とし穴#1】Googleアナリティクス集計時にURLが統合される!
Googleアナリティクスでページ別レポートを見る際に、標準ではドメイン名は表示されずページ名が表示されます。
そのため複数のドメインを計測している環境では、同じページ名がある場合、統合されて見えてしまいます。
これを避けるためにはドメイン情報を記録するようにGoogleアナリティクス側でフィルター設定を行う必要があります。
※レポート「行動>サイトコンテンツ>すべてのページ」での表示例
設定前の計測ページ名:
/sample.html
設定後の計測ページ名:
aaa.co.jp/sample.html
bbb.co.jp/sample.html
以下、Googleアナリティクスのフィルター設定時のポイントです。
- フィルタ【カスタム】で【詳細】を開く
- フィールドAに【ホスト名】【(.*)】を設定
- フィールドBに【リクエストURI】【(.*)】を設定
- 出力先に【リクエストURI】【$A1$B1】を設定
- 【出力フィールドをオーバーライド】にチェックを入れる
※Googleアナリティクスビュー設定のフィルタ設定画面
この設定ができていれば、ページ名が統合されることなく
個々のページ解析が可能になります。
【クロスドメイン設定の落とし穴#2】異なるドメイン間でセッション情報が分断される!
Googleアナリティクスは、参照元が異なる度に自動的に新しいセッションが開始されます。
クロスドメインの計測を行うとなると、異なるドメイン間を行き来するため
そのままでは都度セッション情報が分断され、セッション数を正しく計測できません。
以下、Googleアナリティクスヘルプで紹介されている計測例です。
たとえば、my-site.com にアクセスしたユーザーが your-site.com にアクセスした後、 my-site.comに戻ってきたとします。your-site.com を参照ドメインとして除外していない場合は、 my-site.com へのアクセスがそれぞれ1 回のセッションとして計 2 回記録されます。一方、your-site.com からの参照を除外した場合、my-site.com への 2回目のアクセスは 新しいセッションとして開始されず、セッションは 1 回だけ記録されます。
https://support.google.com/analytics/answer/2795830?hl=ja
上記の通り、参照元を除外すると、除外したドメインから
サイトに集まったアクセスに対して、新しいセッションは開始されません。
クロスドメイン計測の場合、この参照元除外が必須です。
以下、Googleアナリティクスの参照元除外設定時のポイントです。
- 【参照元除外】にクロスドメイン対象のドメイン名を設定
※Googleアナリティクスプロパティ設定の参照元除外リスト設定画面
クロスドメイン対象がサブドメインの場合は、サブドメインから入力してください。
「http://」や「https://」は不要です。
【クロスドメイン設定の落とし穴#3】対象外のドメインにパラメータ(_ga=)がついてしまう!
クロスリンクが正常に動いていると、ドメインをまたいでページを移動した後、
URLに「_ga=」というリンカーパラメータが自動で付与されるようになります。
パラメータ例:
http://mc.appirits.com/?_ga=1.43273121.548799371.1472785112
これはユーザーのクッキー情報を保持しているパラメータであり、
異なるドメイン間でのセッション情報を引き継ぐため、基本的には回避することができません。
(非公式で実装している方もいるようですが、正常計測保証はできません)
例えば計測対象のクロスドメインが
「 http://aaa.bbb.com 」「 http://ccc.com 」という場合、
Googleタグマネージャの自動リンクドメインに設定する値は
「aaa.bbb.com」と「ccc.com」になります。
そうなるとこの「ccc.com」が厄介な動きをします。
「 http://ccc.com 」はもちろん「 http://ddd.ccc.com 」といった
計測対象外のサブドメインにもリンカーパラメータが自動付与されてしまうのです。
また、ダウンロードファイル.exeやpdfにもリンカーパラメーターが付与されるため、
この影響により正しく情報が表示されない場合もあります。
Googleタグマネージャーのクロスドメイン設定方法(例外時)
先に紹介した「通常時」の設定では【クロスドメイントラッキング】の【自動リンクドメイン】に
クロスドメイン対象のドメイン名を設定していましたが、これを外します。
また、新たなタグを作成し、そちらで自動リンクドメインの機能を持たせ
リンカーパラメータの付与先を詳細に設定します。
大事なポイントは以下の2つ。
トラッキングタイプ【ページビュー】
– 【自動リンクドメイン】を指定しない
– 【設定するフィールド】の【フィールド名】には【allowLinker】、【値】に【true】を設定
トラッキングタイプ【リンクをデコード】
– トラッキングタイプ【リンクをデコード】のタグを新たに追加
– 【配信トリガー】にリンカーパラメーターを付与したいリンクの「リンククリック」を設定
– 【例外トリガー】にリンカーパラメータを付与したくない拡張子を設定
Googleタグマネージャーのユニバーサルアナリティクスタグ(ページビュー)設定画面
Googleタグマネージャーのユニバーサルアナリティクスタグ(リンクをデコード)設定画面
この設定を行うことで、対象外のサブドメインや拡張子が.exeといった
特殊なアイテムへのリンカーパラメータが自動付与が防げます。
- リンカーパラメーターがつくと正しくページが表示されない!
- リンカーパラメーターのせいで特定の環境下で.exeダウンロードができない!
といったサイトUI側の問題解決につながります。
どんなに簡単な設定でも慎重に
クロスドメインは以前に比べ簡単に設定できるようにはなりましたが、
昔と変わらず、落とし穴は無数にあります。
- 折角取得した解析データが使えない
- サイト表示やダウンロードに影響して機会損失につながった
なんてことにならないように、慎重に丁寧に設定することを心がけましょう!
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