ホーム DoRuby ペンテスターを取り巻く環境

ペンテスターを取り巻く環境

この記事はアピリッツの技術ブログ「DoRuby」から移行した記事です。情報が古い可能性がありますのでご注意ください。

先日、某所で行われたペンテスター(脆弱性診断を行っているひと)たちにの寄り合いに出かけ、そのときに議題として上った話を、いくつかかいつまんで解説してみよう。

 いま、脆弱性診断業界で何が起きているのか?

ペンテスター業界全般で、システム上の後継者問題が浮上している。後継者問題といっても、人としての後継者ではなく、システム的な後継者の話だ

  1. IE 8
  2. Chrome 最新版
  3. Firefox 最新版

この3つで共通している問題がある。それは、webアプリケーションを診断する上で、比較的見つけやすい脆弱性である、XSSを検知することが出来ないブラウザだ。

ユーザーにとって、XSSは時にはセッションハイジャックをもたらすやっかいな存在だが、各ブラウザーベンダーが、ブラウザそのものでXSSが出来ない対策を施し始めた。

この事は、ユーザーそのものとして見た場合、非常にウェルカムな考え方だが、脆弱性診断を行っている場合、診断に用いているブラウザによっては、XSSが存在しているにもかかわらずあたかもそれが存在していないかのように誤検知してしまう恐れがある。

 では、どうするのが良いのか?

代替案として、ブラウザに搭載された互換モードを利用するという考え方もある。しかしながら、互換モードはあくまでも表示上の互換性を維持するための物であり、XSSをはじめとするいくつかの再現しない脆弱性について、互換表示する物ではない。そのため、

まもなくサポートが終了する、Windows XP を利用し、IE6とIE7を確保する

といった解決策が必要となってくる。当然、これらのOSを使用することはウイルスに感染したり、外部からの攻撃を受けやすくなる等の問題があるため、現時点に於いて、一般利用者に通常はWindows XPの採用は推奨することはない。しかしながら、今回の様に誤検知の恐れがある以上ペンテスターにとっては、完全な再現性を担保するため、仮想環境の中でWindowsを稼働させ、診断が終わるたびに、元の安全な状態に戻すといった方法や、復元ポイントを用いた、環境の確保が必要不可欠となる。

 Windows XP で安全にwebアプリケーション診断に使うには?

先ほど述べたとおり、Windows XPは来年春にマイクロソフトによる正式サポートが終了する。このため、現状できうる限りのセキュリティパッチやサービスパックなどは適用しておき、その状態をマスターとして保存し、必要に応じて呼び出すのが良いだろう。当然として、アンチウイルスは導入し、EMETと呼ばれる、脆弱性を緩和させるフレームワークを導入することも慣用だろう。

今後、ブラウザが進化するに従って、従来は検知出来た脆弱性が益々検知することが難しくなることが十分予測される。もしかしたら、IE7やIE8といった、比較的最近のバージョンも保持対象となる日が訪れる事になるかもしれない。一般利用者にとっては、セキュアな方向にすすむため、非常にうれしい状況に有るだろうが、ペンテスターとしてみると、非常に悩ましい問題の1つと言えよう。

記事を共有

最近人気な記事