大和証券グループの証券会社である株式会社 CONNECTと開発したAndroid/iOS向けのアプリ『ひよこ社長のまちづくり』がリリースされました。デジタル・ネイティブ世代に投資をすることの意義を伝え、ゲームを通じて楽しみながら疑似体験してもらうアプリです。
今回は、株式会社 CONNECTの代表・大槻 竜児さまに、アピリッツを開発パートナーとして選んでくださった理由やアプリに込めた想いについて伺いました。そして、その想いをうけてどのような点にこだわって開発したかを、アピリッツの開発リーダー・大金 翔吾とディレクター・大沼 卓也に聞きました。
→前回の記事はこちら:金融サービスにゲーミフィケーションを。株式会社 CONNECTとの協業ゲームアプリ『ひよこ社長のまちづくり』事例紹介
アピリッツをパートナーに選んだ理由
―― 投資啓蒙・SDGs(Sustainable Development Goals)啓蒙・口座開設という目標に対してCONNECTさんが「ゲーム」を採用された理由をお聞かせください
CONNECT 大槻:市場調査によると「投資に関心があるけれど、まだやったことがない」という人は約1800万人います。その人たちから「ゲームを通して投資を学べたらいい」という意見を沢山もらいました。もちろん「どんなゲームがよいのか?」といったことは誰にもわかりません。
でも、みなさんのメディア接触時間を見ていくと、SNSやゲームが多くの時間を占めていることもわかりました。だから、SNSやゲームをとおして、楽しく遊びながら投資を身近に感じてもらえたら……と挑戦することにしました。
―― 「金融サービス×ゲーム」において、アピリッツをパートナーとして選んでくださった理由はなんだったのでしょうか?
CONNECT 大槻:アピリッツに、金融への理解と知見のある人物(物部)がいたからです。私たちが「金融系のサービスを作ろう」と仲間を探すとき、相手側に金融の知識がないと難しい。そこでいうと彼は抜群に詳しかった。ネット証券を利用されていたんじゃないかな。
最初の会話が非常に早く進みましたし、アピリッツにはゲーム開発の実績もある。だから「相性がいい」と感じました。
「証券会社の出すサービスがゲームでも大丈夫?」と何度も確かめた
―― 実際に開発が始まってからも「相性の良さ」は感じていただけましたか?
CONNECT 大槻:そうですね、開発のフェーズ毎にいろんな印象がありました。
まず、開発がスタートしたタイミングでアピリッツに心配されたんですよ。「本当にこのサービス(=ゲーム)を作ってもいいですか?」って。何度も確認されました。
なぜなら、私たちが証券会社だからです。そして世の中にある証券サービスは「株の売買」を根本に据えたものが多い。でも『ひよこ社長のまちづくり』では、「株の売買」を扱わないんです。少し異色のアプリですよね。
―― なぜ「株の売買のアプリ」ではなかったのでしょう?
CONNECT 大槻:金融の知識を勉強したり、株の取引をシミュレーションするだけだと、つまらなくなるだろうと考えたからです。そして、CONNECTは「株で儲ける」というより「株で資産を持とう」をコンセプトとして大切にしています。そういう意味でも、今回のサービスでは「株の売買」は主役ではないと決めていました。
―― 『ひよこ社長のまちづくり』は「投資」と「SDGs啓蒙」と「口座開設」にフォーカスを絞っていますね
CONNECT 大槻:はい。元々のゲームの企画では「株取引は仕様に入れないが、”日々の株価”をゲーム内のお天気で表現しようか?」などのアイデアも出ましたが、やはりちがうな、と。私たちの目的をわかりやすく伝えるアプリにしたかった。
だから、我々が何を重視しているのか、どういうものを作りたいのかを、アピリッツがちゃんと確認してくれたので「ビジョンを共有しながら作れる」と信頼できました。
一緒によくしていく
―― 開発はどのようにして進んでいったのでしょうか?
アピリッツ 大金:もともとは、シムシティのようなものを作りたいというオーダーを頂きました。そこから、工数と開発期間の観点をふまえて、もう少しカジュアルなゲームをアピリッツから提案しました。
なので、最初に作るものを決めてしまうのではなく、打ち合わせを重ねて、だんだんブラッシュアップしていく方式で開発を進めました。
CONNECT 大槻:いつも良い意味で期待を裏切ってくれましたね。「そうきたか!」と毎回驚きました。
CONNECT 大槻:打ち合わせの場でプロダクトをしっかり提示してくれたのがよかったです。「こうするとゲームはおもしろくなる」「こういうデザインがよい」といったアドバイスやアイデアを、言葉だけじゃなくて、実際にプログラムを組んで、動くものとして見せてくれる。
そうすると「私たちが考えているビジネスゴールは、ユーザにとってはストレスかも?」と理解するんです。ユーザーには、アプリを継続して遊んでもらいたいです。ゲームづくりのプロとしての表現を見せてもらえました。
アピリッツ 大金:ストレスなくプレイするシステムを作ることはもちろんですが、ユーザーが魅力を感じるような「建物」を作ることも大事です。ここはディレクターの大沼がこだわり抜いて企画しました。人的リソースを最大限活かして、良いものができたと思います。
―― ”ぴよ”たちはかわいいですし、あたらしい建物が完成するとテンションがあがります。アイテムもおいしそうですよね!
CONNECT 大槻:でも、ごく初期のアイテムは、ちょっと渋いというか「ジジ臭いぞ?」と思ったんですよ(笑)。”サバの缶詰”とかね。
アピリッツ 大金:デザイナーと相談して、絵本の世界にありそうなアイテムを増やしていきましたね。
CONNECT 大槻:そう、どんどん絵本っぽく、よくなっていった。こちらが希望している以上に良いものができたと思います。
これからの運営は?
―― ゲームとしての歯ごたえも、かなりありますよね
アピリッツ 大金:そうですね、プレイヤースキルの差がでやすいです。ちゃんと作物を仕込んで、製造をして、投資もして……「いかに上手く街を発展させるか?」というところも、ゲームの面白いポイントになっています。
CONNECT 大槻:CONNECTのメンバーは大人も子どもも夢中で遊んでいます。
―― 実際に遊ぶと「街を大きくして、たくさん儲けたい!」というゲーム的なおもしろさに加えて「投資って世の中のためになるんだな」とポジティブな気持ちになります。「SDGs(Sustainable Development Goals)」についても、ただ説明を読むだけよりも、身近に感じます
CONNECT 大槻:小・中学生むけの投資啓蒙としても楽しんでいただけるアプリになったと思います。テストプレイでは社員やその家族が大勢参加してくれました。そしたら子どもたちが「おもしろい!」と喜んでくれて。それが、本当にうれしいです。
アピリッツ 大金:ゲームとしての「ユーザーにストレスなく遊んでもらうこと」や「導入」については、ディレクターの大沼が徹底的に追求しました。インストールしてからの最初の2時間には特にこだわっています。
CONNECT 大槻:ゲーム会社ならではの知見をもらえましたね。仕上がってきたアプリを座談会形式でさわって感想を共有する会がとても楽しかったです。そういう場があると、お互いの熱意を共有できますよね。
―― 今後の運営はどのようになるのでしょう?
アピリッツ 大金:まず、『ひよこ社長のまちづくり』をいかに多くの方に知っていただくか。これが両社共通の課題です。
そして、課金やガチャの仕組みのないゲームなので、少し特殊なゲーム運営になるのではと考えています。運営が始まってから見えてくるものが沢山あるはずです。「どういう建物がユーザーに喜ばれるのか?」など、戦略を立てて、さらにブラッシュアップを続けます。
CONNECT 大槻:大和証券グループはSDGs啓蒙活動を広くおこなっています。そちらとも連携していきたいです。そして、多くの方に『ひよこ社長のまちづくり』を楽しんでいただいて、投資や株や経済に興味をもってくれる人が増えるといいなと思います。
→お問合せ先はこちらです 『ひよこ社長のまちづくり』公式サイト (担当:アピリッツ・大金)
(2020年6月取材)