この記事はアピリッツの技術ブログ「DoRuby」から移行した記事です。情報が古い可能性がありますのでご注意ください。
手や指を動かすことによって脳にどのような影響があるのかについて調べてみました。
はじめに
1か月の更新になります。今回はプログラミングに関してではなく前々からちょっと興味があった「手と脳の関係」について調べてみたのでそれを記事にしたいと思います。
1.手と脳の関係
いきなりですがこちらの画像をご覧ください。
photo by Mike
なかなかにグロテスクな画像ですがこれはカナダの脳神経外科医であるワイルダー・グレイヴス・ペンフィールド(1891~1976)が考案した「ホムンクルス人形」と呼ばれるものです。手や唇は大きく、逆に足や胴、腕などはとても細いのが見て取れます。とても歪な容姿をしていますがこれはヒトの大脳皮質と体の部位の感覚の関係を部位の大きさで示したものです。大脳皮質とは大脳の表面にある神経細胞の集団で、100億以上の神経細胞がいくつかの層をなして配列しています。大脳皮質には触覚や温痛覚などの感覚を脳にインプットする感覚野や運動を行い外にアウトプットする運動野などがあります。
このホムンクルス人形を立体から平面図にした写真が下になります。
photo by Beth Scupham
これまた少し不気味な画像ですが、感覚野(Somatosensory Strip)と運動野(Motor Strip)に分かれてそれぞれ対応した部位の大きさでどれくらいの割合を占めているかを表しています。
運動野でも感覚野でも手や口の部分が大きな割合を占めているのがわかります。
この部位の大きさが大きいほど感覚が敏感であるとされ、その部位を使うことで脳のたくさんの部分を使っていることになります。
2.脳を活性化させよう
さて、先ほどまでの内容で手と脳が密接に関係していることを確認してきました。手をたくさん使うことで脳細胞に刺激を与え、脳の活性化へと繋がります。
手を使うと、手を使わない時に比べて脳の血流量が10%程度上がるという研究結果があるそうです。脳の血流量が低いと神経細胞が死滅してしまい、二度と復活することはありません。神経細胞が減っていくと物忘れが激しくなったり、ボケを引き起こしたりすることがあります。認知症の予防で手を使った体操や、先ほどの画像で手の次に大きな割合を占めている口を動かすことを薦められているのはこういった所からきていると思われます。
しかし、ただ手を使えばいいという問題ではありません。普段の日常生活で行うような「物を掴む」「箸を使う」といった行為ではあまり刺激にはなりません。「外国の人が箸を初めて使った」といった場合ならとても刺激になると思いますが、何も考えなくても行えるぐらい体に染みついた行為は脳の活性化にはあまり効果がありません。
脳を活性化させるのに効果的なのは考えながら手を動かすことです。特に、ピアノなどの楽器演奏や、キーボードタイピングなどは手を動かしながら頭も使うことができるのでとても良いとされています。ピアノは音の強弱やリズムなどを楽譜を追いながら頭で考えて指をたくさん動かす為、脳へたくさんの刺激が伝わります。しかし、そのためにやった事のない楽器を1から始めるのはかなり大変です。それに比べてキーボードタイピングは、打ちたい内容を考えながらキーをタイプするだけなので比較的簡単に誰でも始められます。そのほかにも普段行うことを利き手と逆の手で行うだけでも脳には刺激になりますのでちょっとだけ意識して生活してみるといいかもしれません。
おわりに
いかがだったでしょうか。自分はルービックキューブが好きでよくやっているのですが、「指を使うと頭が良くなる」と聞いたことがあり、気になっていてちょうどいい機会だと思い調べてみました。結果的には全体的に頭が良くなるというより記憶力の部分が良くなるという感じでしたが、ちゃんとした理由を知ることができました。
ルービックキューブやタイピングをしていて「脳が刺激されてるなー」とか、「今、脳の血流量が10%上がったな…」と感じたことは1度もありませんが、将来の記憶力や健康の為に普段から意識して指を動かす事が大事だと思うので、みなさんも是非意識して指を動かして脳をたくさん刺激しましょう!