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アピリッツ決算説明資料のつくり方。デザインプランニンググループの挑戦
 

アピリッツ決算説明資料のつくり方。デザインプランニンググループの挑戦

上場企業が四半期ごとに作成・公表する決算説明資料。もちろんアピリッツも年4回しっかり発表しています!「正しく、わかりやすく伝えること」と「美しさ」を両立させた資料を、ステークホルダーの皆さまへお届けするために、アピリッツでは上場当初からIR担当者と社内のデザインチームが一緒に決算説明資料を作ってきました

「どんどんよくなっていくよね」と評判のアピリッツの決算説明資料や、制作チームのことを、もっと知ってもらいたい!ということで、デザインを担当するデジタルエクスペリエンス部の「デザインプランニンググループ(通称「デザプラ」)」とCFOの永山が、怒涛の制作風景や使用ツール、そしてチーム体制について振り返ります。(2022年10月 取材)

「絶対CFO一人で作ってないでしょ」と言われる

―― アピリッツの決算説明資料はお褒めの言葉を頂くこともあるそうですね

永山:評判いいです! 上場企業のCFOやIR担当者と集まってIR活動に関する勉強会を頻繁にやっているのですが、そこでよく「デザインきれいだよね、IR資料のアワードに応募したらいいですよ」って褒められます。あと「これ絶対に永山さん一人で作ってないでしょ、プロのデザイナーが作ってますよね。デザインは最高だから、あとは永山さんの構成力が課題だね!」とも言われる(笑)

実は、アピリッツの上場審査が終わって上場するまでのあいだに使ったエクイティ・ストーリー(=機関投資家向け資料)だけは、外部の方や和田(アピリッツの代表取締役)に相談しながら自分で作りました。で、パワーポイントを操作しながら「我ながらこのデザインはダッセーな。これを使いまわすのはイヤだな」と思ったんですよね。「これ使って和田さんに投資家たちと対話させるの、申し訳ないな」って。

そしたら和田や執行役員の長谷が「社内にデザインチームがあるんだから、今後のIR資料はそちらにも手伝ってもらおうよ」と言ってくれて。「エッ! いいの!?」ってビックリしました。「みんなクライアントワークで忙しいはずなのに。頼っていいんだ!?」って。

―― 頼ってよかったんですね

永山:はい。それ以降は、決算発表のたびにデザプラのみんなと資料を作るようになりました。

梨子田:会社の管理部門と事業部門が一緒になって仕事を進めることは珍しいかなと思いますし、開発だけでなくデザインができるアピリッツらしいスタイルですよね。

永山:それは個人的にもうれしいです。毎回「ひとつの作品を社内みんなでつくるぞ!」と思って準備しています。

少しずつメンバーが増えて、決算説明資料デザインチームは現在5人体制です

情報収集と体制づくり

―― 決算説明資料の制作チームは、最初に梨子田さんがデザインとディレクションで参加して、回を重ねるごとにメンバーが増えていきました。資料作りの第一歩はどんな感じでしたか?

梨子田:今もこれは変わりませんが、まずは情報収集をやります。決算説明資料で伝えたい内容を経営層に確認して、それをもとに各セグメントのリーダーに質問して情報や資料をもらって、決算説明資料に落とし込みます

最初はこの情報収集と体制づくりに苦労しました。「直接的に売上が発生する仕事ではないし、どこまで事業部のメンバーに協力してもらうか?」と悩んだり。

永山:現場の理解を得るって大切です。IR担当者や経営層は決算説明資料が会社に与えるインパクトや大切さをわかっているけれど、IR活動はクライアントワークとは違って、「売上が上がる」といった直接的なインパクトがあるわけではないし、株価は業績や地合い(=株式市場の環境)にも左右されてるので、重要さを伝えるのは難しいかもしれません。

―― 決算説明資料ではインサイダー情報を多く取り扱うので、関わるメンバーも限定されていて、いったい何を準備しているのか社内からも見えづらいですし……

黒須:ですね。でも、最初は「そうは言っても社内の資料でしょ?」くらいの認識だったのが、少しずつ社内の流れが変わって、ことの重大さがわかってくるんです。現場でも「ここに力を割く価値はある。重要な仕事なんだ」という意識に変わりました

鈴木:デザプラ内のリーダー層と話し合って、クライアントワークを調整してベテランデザイナーを投入できるようになったり。

黒須:そうやって決算説明資料チームに新しく参加した私達が「やっぱりすごく大切だし、大変だよ!」ってたくさんアピールすると、ますます協力体制が生まれてくる(笑)

Adobe XDとパワーポイントのハイブリッド

―― どこが一番「すごく大変!」でしたか?

黒須:二度大きく作り直したタイミングがありました。

まず、私が参加したタイミングで制作環境を変えました。パーツの多さや見栄えを考慮して、パワーポイントからAdobe XDで一通り作り直したんです。このときが一番大変でした。やってもやっても終わらない(笑) ただ、一度変えてしまえばAdobe XDで共通のパーツを使ってその後も制作できますし、やってよかったです。

それから、DTPのデザイン経験のある宮本さんが参加してくれてクオリティがさらに上がったと思います。細部まで整えると美しくなるんですよね。これが二度目の作り直しです。宮本さんが細かく調整を入れて作り変えました。

宮本:フォントの雰囲気を「繊細で信頼感がありスタイリッシュなもの」に統一しました。決算説明資料のルールを守りつつ、レイアウトに遊び心を入れてみたり。

黒須:そうやって細部にこだわりを入れられるようになってきました。

フォントにもこだわってます

黒須:そして、今はパワーポイントとAdobe XDのハイブリッドで作っています。たとえば「ちょっとここだけあとで変えたい」と永山さんが思ったときに、永山さんの手元で修正できたほうが小回りは効くので、そういった部分はパワーポイントを使っています。

永山:修正は最後の最後まで入ります。実は、資料制作と並行して決算数値の監査法人監査が入るので、数値を変更する場合もあるし、途中で「やっぱり構成はこうすべきだな」と思ったりして原稿がギリギリまで確定しません。ページの並び順を変えることもありますし……。いつも原稿が遅くて申し訳ない。

デザプラ全員:みんな毎回覚悟しています(笑)

覚悟してるみなさん

鈴木:決算の頃になると梨子田さんが遅い時間まで仕事しているのは知っていたので「決算を出す今だけだ!」と覚悟を決めて参加したんです。でも、単に大変なだけじゃなくて、ディレクターとして得るものも大きかったです。クライアントワークにも活かせます。なのでデザプラのいろんな人におすすめしたいです。

丹羽:「読み手が一番知りたい情報は何なのか」と考えながら資料を作るので、ただキレイにデザインをまとめるだけではなく、情報を整理してデザイン制作する視点が身につきます。これは通常のデザプラでの仕事でも役に立ちますね。

黒須:査定での評価にも入りますし。

梨子田:「(決算説明資料の作成は)会社の根本に関わる重要な仕事だから責任を持ってね」と佐藤(デザプラを率いるデジタルエクスペリエンス部の部長代行)からも言われていますし、グループのメンバーにもそれは伝わっています。

伝えたいメッセージをデザインする

宮本:数字をキレイに並べるだけがデザインではないので、どこを強調すればよいかは常に考えています。全部大切な情報ですし、とはいえ全部真っ赤な太文字にはできないし……。

永山:こちらから出す原稿は「会社のみんなの頑張りを投資家たちへ伝えたい!」って思いが強くなってしまうので、つい「昨対比もいい、予算比もいい!ああ俺は全部言いたい!だから原稿の文字も全部真っ赤だ!」ってなりがちなんですよ。

黒須:そう、本当に真っ赤(笑)なので、そこから永山さんや経営陣が伝えたいことをくみ取って、その上でデザインでどこを強調するかを、デザプラ側でしっかり考えます

真っ赤な原稿から資料を作るデザイナーの黒須。となりはディレクターの鈴木

永山:ありがたいことです。つい「言葉で全部伝えちゃえ」って考えがちなんですが、事業のことをダラダラしゃべっても伝わらないんですよ。パワポに文字をぎっしり詰め込んでもダメ。だから、伝えるデザインの力をいつも感じています

宮本:事業の概念図を作るのは苦労しますね。「成長のイメージを表現する図」ってどういうものがいいだろう? と考えたり。

鈴木:ただキレイなだけじゃだめですし。一番大変なんじゃないかなと思います。

梨子田:イメージを伝えるデザインづくりは毎回苦心しています。「グループ企業になったムービングクルーの事業をどう表現しようかな?」と思案したり。永山さんたちと直接やりとりしてイメージをすり合わせています。

アピリッツの成長イメージ!

永山:成長企業なので、新しい事業や取り組みがどんどん増えているんですよね。四半期ってつまり3ヶ月です。たった3ヶ月しか経っていないのに、その短いあいだに新しいことが増えるから、資料も数字を更新するだけじゃない。それでご苦労をかけている面もある。

あと、個人投資家向けのセミナーや機関投資家との1on1で資料のフィードバックをもらうんです。そのフィードバックをもとに資料をアップデートしていくから、毎回いろいろデザインチームへの注文が増えてしまう。

黒須:それは普段のクライアントワークでも当たり前のようにやっていることで、アップデートとブラッシュアップを重ねるのは大切なことです。だから大丈夫です!

永山:黒須さん今日ほんといいこといっぱい言ってくれてうれしいです。これからも一緒にいい資料を作っていきましょう。よろしくお願いします!

アピリッツのIR情報はこちらで公開しています!

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