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Difyで手軽に生成AI活用 – ナレッジ検索から応用例まで
 

Difyで手軽に生成AI活用 – ナレッジ検索から応用例まで

1. はじめに

2025年9月にアピリッツに入社した茶屋道(ちゃやみち)です。入社して2週間が経ちました!
AI領域に特化した部署である「AIソリューション学部」に配属され、AIを活用したアプリや仕組みづくりのお手伝いをしています。

「AIをもっと活用してしてみたいけど、どこから手をつければいいの?」
そう思ったことはありませんか? 実は Dify(ディフィ)というサービスを使えば、専門知識が無くても簡単にAIアプリを作ることができるんです!

この記事では、Difyの基本を紹介するだけでなく、実際に活用できる例として ナレッジ検索AI の作り方も解説していきます!

2. Difyとは

Build Production-ready Agentic AI Solutions

📌 概要

AIをもっと身近に、手軽に活用できるようにするサービスです。
最大の特徴は、コードを書かずにAIアプリを作れること。例えばこんなAIアプリが作れます!

  • ナレッジ検索AI
    社内マニュアルや公開資料(PDF等)をアップロードして、自然な言葉で質問するだけで必要な情報を検索。
  • 文章生成AI
    メールの下書き、議事録の要約、提案文などを自動で作成。
  • 問合対応AI
    部署専用/顧客対応を担うチャットボットをノーコードで構築し、問い合わせ対応を自動化。
  • 開発補助AI
    テストコードの雛形作成やAPI設計やドキュメント整備の補助を行い、開発効率を向上。

Difyなら、簡単に業務に役立つAIアプリを作れます。
さらに応用すれば、外部サービスとの連携を通じて、日々のツールやシステムとAIを繋ぎ、もっと便利に活用できます

☁️ 利用形態

Difyには大きく分けて「クラウド版」「セルフホスト版」の2種類があります。

クラウド版

  • アカウントを作成すればすぐに利用可能
  • 無料プラン : 利用制限はあるが基本機能を体験できる
  • 有料プラン : 利用制限が緩和され、さらなる機能にアクセス可能
  • 小さなトライアルから本格導入までスムーズにステップアップできる

セルフホスト版

  • 機能はクラウド版とほぼ同等
  • Dockerを利用して、自社サーバーやクラウド環境に構築可能
  • データを自社環境内で保持できるため、セキュリティやコンプライアンスなどの要件にも対応
  • Dockerでの構築やインフラの運用などの知識が必要になる

⚠️ 利用上の注意

  • 業務データなどを利用し、本格的に運用したい場合は「セルフホスト版」を利用するようにしてください。
  • 「3. ナレッジ検索AIを利用してみよう」では、説明の簡略化/オープンデータ利用 の為「クラウド版」を採用しています。

3. ナレッジ検索AIを作成してみよう

ナレッジ検索AIとは、アップロードした資料やデータを元に質問に答えてくれるAIのことです。
社内マニュアルや公開レポートを検索対象にできるので、業務効率化や情報共有に役立ちます。

技術的には「RAG(Retrieval-Augmented Generation)」と呼ばれる仕組みですが、
ここでは分かりやすく ナレッジ検索AI と呼んで進めていきます。

今回は例として、観光庁が公開している「旅行・観光消費動向調査」に関する質問へ回答する ナレッジ検索AI を一緒に作成してみましょう。
以下のリンクより資料をダウンロードしてくださいね!

📄 旅行・観光消費動向調査(PDF)

🔑 セットアップ(1/4)

ログイン

Dify Login

まずは Dify にアクセスして、アカウントを作成/ログインします。
メールアドレスはもちろん、Google や GitHub アカウントでも簡単にログインできます。

モデルプロバイダーの設定

Model Provider

ログイン後は、AIに回答させるための「モデルプロバイダー」を設定します。
これは、AIの頭脳となる大規模言語モデル(LLM)や、ナレッジ検索に欠かせない 埋め込みモデル を利用できるようにする仕組みです。

Difyの画面右上にある自分のアイコンをクリックし、設定 をクリックします。
サイドメニューから モデルプロバイダー をクリックしてください。

OpenAI Install

今回は例として、クラウド版でも利用できる OpenAI インストール します。
無料枠が用意されているため、お試しレベルなら十分に活用できます。

📚 ナレッジ(2/4)

ナレッジとは

「ナレッジ」とは、AIが参照するために登録する資料やデータのことです。

例えば、社内マニュアルやFAQといった資料をアップロードしておくと、AIはそれをもとに質問に回答できるようになります。
ナレッジを登録することで、ただの会話AIではなく「自社専用の情報を回答してくれるAI」に進化させることができます。

データソースの設定

Data Source

ヘッダーから ナレッジ を開き、ナレッジベースを作成 をクリックします。

ここではナレッジの材料となる テキストファイル や ウェブサイト などを指定します。
今回は先ほどダウンロードした 📄 旅行・観光消費動向調査(PDF)をテキストファイルとしてアップロードしましょう。

ナレッジの詳細設定

Detailed Setting

次の画面では、チャンク設定/インデックス方法/埋め込みモデル/検索設定 をカスタマイズすることができます。

簡単に言えば、「AIが資料を理解しやすく、検索に活用しやすいようにするための細かい設定」です。適切に設定することで、回答の精度を向上させられる場合があります。興味のある方は調べてみてくださいね!

今回は以下の設定を採用します。

  • チャンク設定 : 汎用
  • インデックス方法 : 高品質
  • 埋め込みモデル : text-embedding-3-large
  • 検索設定 : ハイブリッド検索

保存して処理 をクリックすることでナレッジの作成が完了します!

🪚 スタジオ(3/4)

アプリタイプの選択

App Type

ナレッジを登録したら、次はアプリを作ります。
ヘッダーの スタジオ から 最初から作成 をクリックすると、アプリタイプを選択する画面が表示されます。

今回はシンプルなAIアプリを作成するので、初心者向けの基本的なアプリタイプ を展開し、チャットボット を選択してください。
その後は、アプリの名前や説明を自由に入力し 作成する をクリックしてください。

📦 ワークフロー
会話の継続機能 無し 自動化やバッチ処理向け。
高品質な翻訳、データ分析、コンテンツ生成、電子メールの自動化などに利用。
📦 チャットフロー
会話の継続機能 有り 対話型シナリオ向け。
カスタマーサポート、社内ヘルプデスク、営業接客シュミレーションなどに利用。
📦 初心者向けの基本的なアプリタイプ
プロンプトやコンテキストを追加してお手軽にAIアプリが作成できる。

プロンプトとコンテキストの設定

Orchestration

アプリを作成し オーケストレーション の画面が表示されたら、まずは プロンプトコンテキスト を設定します。

💬 プロンプト
AIに「どう答えてほしいか」を伝えるルールブックです。
例えば「ナレッジに関係ない質問には答えない」「最後に出典を表示する」といった指示を書きます。
プロンプト次第でAIの性格や立ち振る舞いが大きく変わります。
📘 コンテキスト
AIに「どの知識を参照するか」を指定します。
事前に作成したナレッジを指定することで、AIはその内容を元に回答してくれるようになります。

今回は僕が用意した プロンプト を設定してみましょう。

あなたは「旅行・観光消費動向調査AI」です。
与えられたナレッジ(観光庁「旅行・観光消費動向調査」PDF)に基づいて質問に答えてください。

ルール:
1. 回答は必ずナレッジに基づいてください。
2. ナレッジに関連しない質問(例:雑談、他の統計、旅行以外の内容など)が来た場合は、
   「この質問は本ナレッジ(旅行・観光消費動向調査)には関係がありません。」と答えてください。
3. 回答の最後には、必ず以下の出典を固定で表示してください。

---
出典:「旅行・観光消費動向調査」(国土交通省観光庁)
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001905783.pdf
---

コンテキスト には事前に作成した 📄 旅行・観光消費動向調査(PDF)のナレッジを指定します。

設定が完了したら画面右上の デバッグとプレビュー「国内旅行消費額はいくらでしたか?」とメッセージを送ってみましょう。
資料に沿って「6兆7,988億円」という旨のレスポンスが帰ってきたら成功です!

🚀 アプリの公開 (4/4)

初めてのアプリ作成、お疲れ様でした!
オーケストレーション 画面の右上から 公開する をクリックするとメニューが開き、更新を公開 をクリックすることで最新の状態がアプリに反映されます。

🌏 URL共有
公開URLを共有することで、他の人のブラウザからもアプリを利用できるようになります。
また、他のサイトに埋め込んで利用することも可能です。
🧩 API活用
バックエンドサービスの URL/APIキー/APIリファレンス が自動的に作成され、他のアプリからAPIを経由して利用することも可能です。

便利なAIアプリが作成できたら、周りの人に共有してたくさん使ってもらいましょう!

4. 応用例

アプリタイプの中でも、ワークフローやチャットフローなどを活用することで、複雑なタスクをこなすAIアプリを短時間で作成することができます。
ここからは、僕が作成したAIアプリをいくつか紹介します。

🎨 Webページをプレゼンテーション化するAI

作成時間 : 10分

Example 1

WebページのURLを送信すると、そのWebページを参考にAIがプレゼンテーション用のスライドを作成してくれます。
また、ユーザーの要望も同時に送信できるようにしたので「このWebページの内容を僕にプレゼンして!」や「このWebページの内容をみんなにプレゼンをしたい!」のようなタスクにも対応できます。
Webページの要約や、プレゼンテーションのモックなどに活用できそうです!

✍️ 領収書から経費申請書をアップロードするAI

作成時間 : 20分

Example 2

領収書の画像やデータ(PDF等)を送信するだけで、必要な情報を抽出してGoogleDriveへ経費申請書のスプレッドシートをアップロードしてくれます。
今回は経費申請書を自作しましたが、会社の経費申請書の形式に準拠した物を用意すれば実用的かもしれません!

5. さいごに

今回は Dify について、概要からナレッジ検索AIの作り方、そして応用例まで紹介しました。

Difyの魅力は、専門知識がなくてもすぐに実用的なAIアプリを作れること
まずはシンプルなアプリから始め、慣れてきたら複雑な設定やワークフロー作成にも挑戦してみてください。

「さらに踏み込んで活用したい」「自社独自のワークフローに組み込みたい」という方は、セルフホスト版の利用を検討してみてください。
その際はぜひ「AIソリューション学部」までご相談ください。

茶屋道 大輝(ちゃやみち ひろき)
AIソリューション学部
推しはアメリカビーバー。毎日『ラヴィット!』を見て元気をもらってます!
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