ホーム インタビュー 「DX時代にデジタル領域のユーザー体験設計を提供する」デジタルエクスペリエンス部 長谷 亘 × デジタルビジネス部 飯場俊耶 対談
「DX時代にデジタル領域のユーザー体験設計を提供する」デジタルエクスペリエンス部 長谷 亘 × デジタルビジネス部 飯場俊耶 対談
 

「DX時代にデジタル領域のユーザー体験設計を提供する」デジタルエクスペリエンス部 長谷 亘 × デジタルビジネス部 飯場俊耶 対談

アピリッツは企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を今後さらに支援するために、2/1に新組織編成を行いました。今回あらたに立ち上げたデジタルエクスペリエンス部を率いる長谷が、Webコンサルティングの現場で感じたDXの課題についてデジタルビジネス部の飯場と話します。(2021年1月取材)

業務プロセスの改善から顧客体験の創造まで

―― はじめに、アピリッツのDX推進における活動内容を教えてください

長谷:アピリッツでは以前からお客様のDX推進を助けるために様々なアプローチを取っています。

具体的には、お客様のビジネス構想の具現化に向けたデジタル技術やマーケティングのコンサルティングを生業にしている「デジタルビジネス部」を2018年より推進してきました。

また、去年の動きでいいますと、オンプレミス環境からAWSやGCPといったクラウド環境への移行を通して、お客様を支援する「クラウドインテグレーション部」を2020年に新設しています。(関連:マイグレーション後もDX推進のお付き合いを。クラウドインテグレーション部設立記念、西脇学 × 剣持大介 対談

そして次はということで、DX推進でも重要となる顧客体験の領域でも事業に力を入れようと考え、組織編制ラッシュではありますが、あらたに「デジタルエクスペリエンス部」を立ち上げました。ユーザーに触れるフロント側の体験向上をテーマに、DX推進およびデジタル人材を育成していくためのトリガーとなります。

―― DXという言葉をよく耳にするようになりました。飯場さんは、コンサルタントとしてアピリッツのお客様との対話を重ねていますが、お客様のDXへの関心度や進み具合はいかがでしょうか?

飯場:多くのお客様がDXを経営の目標に掲げていらっしゃいます。ですが「何をすれば?」というところで止まっている印象ですね。せっかく実店舗でよいサービスや商品を提供しても、それをどうシステム化・デジタル化するか? といったところが各業界共通の課題であると感じています。

たとえば、数千点の商品をただズラッと紙のカタログのように並べただけのECでは、ユーザーは何を買えばいいかわからないので売れません。実店舗で提供するサービス・商品が持つ良さとオリジナリティが、デジタルにフルで活かしきれていないのが現状だと考えています。

長谷:IT化でも頭を悩ませているのにDX化が来ててんやわんやなイメージはあるね。大変です。

競争も激化していく中でそれぞれの企業努力でサービスが多様化・複雑化しているってことなのかな。そして、デジタル領域において、ユーザーがわかりやすくサービスを体験する仕組みや表現が難しいと。

飯場:そうですね、その業界でトップを取るための戦略として、顧客に寄り添ったサービス・商品を作っていらっしゃいますが、それをデジタルでどうつくり上げるかに頭を悩ませています。

デジタル領域でも「また使いたい」をつくる

―― サービスが複雑化するとどういうことがおこるのでしょうか?

長谷:すごく単純な話なんですが、そのユーザーにとって良いサービスのはずなのに気づけないということが起きてしまいます。せっかくの素晴らしいサービスなのに伝わらないって悲しいですよね。

ですので、複雑でも自然とファンになってくれるわかりやすさや伝え方の仕組みが求められています。「顧客」となってくれるファンをいかに増やしていくかを徹底的に分解して再現していくわけです。

―― 売上数値を伸ばす従来のマーケティングとの違いはあるのでしょうか?

長谷:定義が難しくて、どっちもビジネス成長といった目的は同じです。ただ「数値」を満たすか、「顧客満足度」を満たすかといったアプローチに違いがあります。

今までは、ビジネス上の具体的な数値を作るためのマーケティングや、デジタル技術によって業務を効率化していくことが注目されてきました。売上やコスト最適化といった感じです。

これからも必要なアプローチ方法です。ですが、コロナ禍といった世の中の常態が変わる出来事は今後も起こりますし、目の前の数値を追うだけでは業界で生き残れないと、お客様も不安に思っています。

その中で、サービスと顧客との間に信頼関係を築き、「長くファンになってくれる顧客」を作ることが大事で、何度も何度もサービスを通して「良かったな」と思う体験を増やすような「顧客主義」の考え方を私たちはプロジェクトに取り込んでいます。

―― なるほど。体験を良くするアプローチを担うのがデジタルエクスペリエンス部なわけですね。

飯場:そうですね。「デジタル領域のビジネス構想と戦略の立案や、数字計画を立てる」のがデジタルビジネス部の役割。

そして、ユーザーにその戦略をどのように届けるのかといった「デジタル領域でのタッチポイントを設計する、良い体験を創る」のがデジタルエクスペリエンス部の役割かなと。

長谷:まさに、そんな感じですね。同じような名前の部署名でややこしいですが(笑)

ただ、完全に分ける必要はないです。お互い重なるところも実際は多く、「数字と顧客体験の向上」を行き来しながらサービスを提供していくイメージです。

誰が、どこで、どのような場面で、何に興味をもって、気が付いたら習慣になって、良いなと思ってもらう、といった体験全体を設計し、定量的なデータも参考に作っちゃうというのが勝利の方程式です。

もともと、アピリッツは10年以上前からマーケティングやデザインのサービスを提供していますし、デジタル技術やエンジニアのサービスも提供していく中で、顧客主義のニーズが潜んでいることはキャッチしていました。

近年は特にDX推進や経産省のDXレポートでも「ユーザーエクスペリエンスが重要である」「作ったサービスを使ってもらわないと意味がない」ことが述べられています。

これらの経緯をふまえ、デジタル領域でユーザー体験を作ることに特化したチームが必要でした。それが「デジタルエクスペリエンス部」です。

ユーザー体験つくりは顧客とデジタルをつなげる伴走力

―― アピリッツがユーザー体験を考えて実現できる理由を教えて下さい。

長谷:ユーザー体験の向上に必要な実行プランを社内で完結して持っているワンストップソリューションの体制ですかね。

ユーザー体験を実現するうえでは、総合的なアプローチが必要で、学問をまんべんなく修めないとどこかで穴が空いてしまう。周辺サービスに穴が空いてしまうと、顧客に的確に届きにくくなる。アピリッツはその穴を埋めることができる会社です。

飯場:それは現場でも強く感じています。デザイン制作、システム開発、マーケティングといった知識に加えてお客様の業界知識、お客様のユーザーはどういった人たちなのか?、お客様の競合他社はどこで、そこと差別化できるのはどういう点か?などの観点を凝縮してデジタルを作っていけるなと。

長谷:長くアピリッツにいるので慣れてしまっていますが、ビジネス構想とかフロント側の設計について社内の開発陣に断られることってほとんどなくて、シンプルにすごいなといつも思います。同じ会社で一気通貫で作ることの強さや心強いメンバーがいるって素晴らしいです。

―― ユーザー体験について大事にしていることはどのようなことでしょうか。

長谷:当たり前の話かもしれませんが、その業界やサービス、顧客の特性を知ることが大事だと思っています。

その際に、複雑化したビジネスをお客様に教えていただくことも大切です。ユーザー体験を「お客様の情報」と「デジタルな実行」で伴走してつなげていく感じです。難しいのですが、だからこそ価値があるわけですし、やりがいがあります。

飯場:お客様のメンバーへの理解も大事ですよね。私達からのご提案は、技術や顧客体験と同じくらいお客様の社内にいるメンバーの仕事上の体験にも影響が及びます。ですから、5年後10年後にどこを重要視するか、そういった理念を対話によって汲み取り、それを貫きます。

3,000の企業があれば3,000のセカイがある

―― お客様の顧客も、お客様自身の未来も大事にする。そのための対話が重要であると。

飯場:何度も重ねます。プロジェクトは対話のなかで出てきたものを実現する手段なのです。もちろんプロジェクトが始まったあとも対話は継続します。

そうすることで新しい領域を開拓できると信じていますし、ちょっとした悩みもご相談いただけるようになることが寄り添うことの結果だと思います。

たとえば5年間で数億円かけるプロジェクトの場合、5年間も一緒にお付き合いがあるわけですから、ゼロベースで関係を構築するのは双方ともに怖いものです。そのため、日頃からお客様の持っているサービスや理念を知ること、ビジョンやミッションから新しいサービスを提案します。

長谷:今まで培ってきた情報や知識を総動員しないとできない仕事ですよね。特にお客様のサービスが世界で愛されるためには、お客様の理念を我々が先に愛していくというのが大事。

飯場:アピリッツのミッションである「セカイに愛されるインターネットサービスをつくり続ける」と重なりますね。3,000の企業があれば3,000のセカイがあって良いと思っています。

長谷:それ、いい言葉だね。お客様がイメージするセカイについて私達が色を付けることに賛同して、具現化していくような仕事。ってなんだかかっこつけた感じになっちゃいましたが(笑)

飯場:でも、ミッションってかっこいいほうがいいですよね(笑)

―― 最後にDX推進への抱負をお願いします。

長谷:お客様のサービスをいかにデジタルで実現するか、企業価値を上げてゆくかといったDXの構想は、お客様ご自身だけで描くのは難しいですし、私たちだけでも厳しい。だからこそ、アピリッツがお客様と共に伴走し、様々な意見を出しあうことでつくりあげることができると思っています。

インターネットの時代がまた変わろうとしている稀有なこの瞬間を、お客さんと社内のメンバーと楽しんで進めて共に成長できるような企業でありたいです。がんばります。

―― 長谷さんと飯場さんの顧客への情熱が伝わってきました。ありがとうございました!

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