この記事はアピリッツの技術ブログ「DoRuby」から移行した記事です。情報が古い可能性がありますのでご注意ください。
はじめに
nocoです。暑い日々が続いており、液晶ペンタブレットの発熱が気になる今日この頃です。
今年の春に入社してから1ヶ月間ほどキャラクターの立ち絵制作の業務に携わらせていただきました。私自身立ち絵への理解が浅く、短い期間の中でもたくさんの発見がありました。
立ち絵は、その性質上ゲームの中で長時間目にする重要なグラフィックです。
そんな立ち絵を魅力的に描くためのポイントを共有したいと思います。
立ち絵とは
弊社・株式会社アピリッツ運営のMMORPG「かくりよの門」の会話シーン
立ち絵とは、その名の通りキャラクターの立ち姿を描いたイラストのことです。
主にノベルゲームやアドベンチャーゲームの会話シーン(ストーリーパートなど)に用いられます。
会話シーンという性質上、複数のキャラクターが並ぶことが多いため「動」ではなく「静」の印象を受けるポーズで描かれることがほとんどです。
多くの場合、キャラクターごとにそれぞれ表情の差分を用意します。
異なる表情をシーンの状況に合わせて表示することで止め絵ながら会話を華やかに演出することができます。
また、必要に応じて表情の他にもポーズ差分や衣装差分が用意されることもあります。
立ち絵はキャラクターの外見を伝えることは勿論ですが、「誰がどういった表情で話しているか」を視覚的に伝えることができます。
小説でいうところの地の文が必要なくなり、会話のテンポも良くなりますね。
キャラクターを作ろう
立ち絵の描き方についてお話する前に、前提となるキャラクターデザインのことを簡単にお話させていただきます。
ゲーム制作の現場では依頼としてこういったキャラクターを作ってくれ!と指定がある場合がほとんどですが、自分で1からキャラクターを作ることもあります。
最初に、描きたいキャラクターの設定を文字で書き出してみましょう。
【外見】性別・年齢・髪型・服装 など
【内面】性格・信念・声・話し方・過去 など
筆を動かしているうちに良いアイデアが浮かぶことも多いので、最初から完璧な設定を作り込む必要はありません。設定を元にイメージスケッチを描き、デザインが固まったら立ち絵の制作に入ります。
外見はもちろんですが、内面をしっかりと作り込んでおくことでキャラクターが活き活きとしてくるように感じられます。
キャラクターの内面の情報をどこまで視覚的に伝えられるかがデザイナーの腕の見せ所です。
設定の段階からキャラクターの要素を立ち絵の中にどう盛り込んでいくかイメージしておくと良いですね。
キャラクターデザインについて詳しく知りたい方は、本やWeb上に専門的な講座や記事があるためそちらをご覧ください。
次項より、立ち絵を魅力的に描くポイントについて解説していきます。
立ち方で人柄を表現する
立ち絵において、キャラクターの立ち方はとても重要です。
まず、ベースとなる素体を用意します。6頭身の何の変哲もない少女です。
この素体を、4つの性格をイメージしてそれぞれポーズを取らせました。
体型は同じでも、ポーズを変えるだけでまるで別人のようになります。
このように、立ち方ひとつでキャラクターの人柄を表現することができます。
棒立ちではキャラクターの魅力が十分に伝わらず、人形のように生気のない印象を受けます。
意図してそういった表現をしたいのでなければ、どこか一か所でも動きをつけてあげましょう。
片手や片足を動かすだけでもキャラクターが活き活きとしてきます。
例にあげたような「元気」「内気」という括りの中でもさまざまな種類があります。
キャラクターのイメージを膨らませ、それに合った最適なポーズを決めてあげましょう。
表情でさらに魅力的に
前述したように、立ち絵にはベースの表情に加え基本的な喜怒哀楽の表情が用意されます。
目の伏せ方や眉の位置、口の開け方など、パーツを一部描き変えて表情を作っていきます。
手間は掛かりますが、差分の種類が多いほどキャラクターの個性を繊細に伝えることができます。
先ほどの「元気」ポーズを元に1人のキャラクターを描き起こしました。
このキャラクターに喜怒哀楽の表情を付けてみます。
元気な子というポーズからの情報に加え、差分によって表情がコロコロと変わる感情豊かなキャラクターということが伝わるかと思います。
立ち方に加え、表情でさらにそのキャラクターの人柄を掘り下げることができます。
特に、外見と内面にギャップのあるキャラクターはその魅力をアピールするチャンスです。
一口に喜びと言ってもさまざまな種類があります。
大きく口を開けてニカッと笑ったり、目を細めて優しく微笑んだり…これだけでも与える印象が大きく変わります。
キャラクターたちが皆同じ顔をして笑うなんてことはありませんよね。
立ち方と同様に、キャラクターのイメージを膨らませて魅力的な表情を引き出してあげましょう。
まとめ
今回は立ち絵の根幹となるポーズと表情を描くポイントについて書かせていただきました。
ポーズや表情だけでもキャラクターの個性を引き出せているのなら、衣装や装飾を描き込んでいくことでさらに魅力が増していきます。
ベースをしっかり作り込んでおくことで描画もスムーズに進めることができます。
立ち絵を描くときには、頭の中で動き出すくらいキャラクターのことをたくさんイメージしてあげるのが大切です。
また、日頃から既存のアニメやゲームのキャラクターの魅力や特徴がどこに表れているのか考えて観察してみると良いかもしれません。
次回も立ち絵についてのお話を続けて書きたいと思います。