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「管理系が事業に返せるものっていっぱいある」アピリッツ 取締役 CFO 永山亨 ロングインタビュー

「あの役員は誰だ?と思われている人も多いかも」と、2020年4月に入った執行役員 CFOの永山は冗談交じりで言いますが、全社会でおなじみの方が多いはず。入社の経緯と、CFOの役割についてたっぷり語ります! (2020年10月 取材)

永山 亨
取締役 執行役員 CFO
2020年4月入社
20代後半で会社を辞めて1年間バックパッカーの経験あり。旅の目的は自分探しではなく「体力のあるうちにペルーやエジプトを観光したかった」から。
理由はなんでもいい。

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責任者として上場を成し遂げ、「鐘」を鳴らしたい

―― 永山さんは2020年の4月にアピリッツへCFOとして入社されました。ご入社の経緯を教えて頂けますか?

まず、なぜ自分がアピリッツにいるかといいますと、上場準備の責任者として働くためです。当社の社外取締役である喜藤さんとご縁がありまして、ご紹介いただき入社しました。

前々職の求人広告会社で東証マザーズ上場から一部上場までの成長期を経験しました。そちらでなにをやっていたかというと、まずは経理メンバーとして一連の業務経験からキャリアを始め、経営企画として予算策定、IR、資金調達、東証一部への申請業務……つまり会社の数値に係るすべての仕事をやっていました。

その次に入ったスタートアップ企業でも上場申請にトライしていましたが、当時どうしても難儀な課題があり、その課題解決に時間を要することになってまったんです。その会社のことはとても好きでしたが、自身のキャリアを考えると、どうしてもある年齢までに責任者として上場を成し遂げたかった。その際に縁があってアピリッツに声を掛けてもらったんですね。

―― 「責任者として上場する」というのは、どういうことなのでしょう?

数値系の業務を一定経験すると、新しい分野の事にチャレンジするってなかなかなくて、そうなった際に責任者として上場を経験するなんてキャリアはそう多くの人が積めるものではないですし、ほら、上場するときに東京証券取引所で「カーン!」って鐘を鳴らしたり、会社の上場記念パーティーで大きな樽酒とかバコーンと割ってますよね? あれを体感したいんです。前々職では中心として動きましたけど、あれ役員しかやらせてもらえない。「ずるい! 俺が死に物狂いでやったのに」って(笑) 子供みたいですよね。

でもエンジニアさんとかってモノづくりだし、そのサービスが世の中で使われたり、営業の人だったら販売しまくって表彰されたりってスポットライトあたるじゃないですか? でも管理系ってどうしても縁の下の力持ちで、もちろんそれは素敵な事なんですけど、人生で1回くらいスポットライト浴びたいなって。高尚な理由じゃないですよね(笑) でも自分はやりたい。夜遅くまで必死で準備して、審査に臨んで、上場をはたすなら、自分の手であの鐘をカンカン鳴らしたい。

……ということで、自分はここにいます。

ちなみに、今年の4月といえば新型コロナウイルス感染症によって政府から緊急事態宣言がでて、当社も全社リモートワークを実施していた頃でした。なので入社したての頃はオフィスにほとんど人がいない状態で、和田さん(アピリッツ代表取締役社長)や管理部門の一部メンバーとしか顔を合わせてなくて。だから社内では「いつのまにか現れた役員」という印象になっちゃっているかもしれません。

管理系が事業系に返せる「付加価値」は沢山ある

―― CFOの役割はどういうものなのでしょうか。今は「IPOの舵取り役」という印象が強いですが……

そうですね、今は上場準備に注力しているので、何してるんだ?って思いますよね(笑) それと同時にもちろん、決算を締めることや、取引先へ支払いをしたり、資金調達したり、はたまた内部統制やコーポレート・ガバナンスの強化も役割としてありますが、そこは当たり前の話なんです。営業の人が営業すること、エンジニアの人が開発するのと同じ。

もっと重要なのは「会社がしたいこと」を実現するための手助けをする役割です。会社の事業側の人が何かをしたいときに、それを叶えるための「お金、モノ、人」をいかに準備するか。そこを考えて動くのが私達の仕事です。

たとえば、未来のことは誰にもわからないですが、過去はわかりますよね。過去は分析できる。つまり、過去の実績推移、市場関係の情報から当社がどんな状態だったのか?良かった点は何か?悪かった点は何か? ……こういう情報は、意思決定の指針になるんです。そこから未来を見据えて管理系からネタを提供して、事業系の役に立ちたい。

だからこそ、事業のことを一番理解しないといけないのが実は管理部だと思います。

なので、自分は社内との距離が近いCFOでありたいです。みんなのことを理解しないと。管理系から社内のみなさんに「お願い」することも沢山ありますし、お願いごとをする時って距離感が大事ですし。

距離感! (撮影のためにマスクをはずしています)

「あれっ? ケンカにならないぞ?」と思った

―― 入社して半年がすぎましたが、和田社長や社内の印象はいかがでしょう?

CFOや経営企画は、社長に近いところで仕事をするのですが、和田社長は物静かで優しい印象です。でも軸がしっかりあるのは話していて感じました。昔はとがってたんだろうなってわかります(笑) あと途中入社で社長って珍しいなと思います。

会社全体は、実は最初「あれっ? 待てよ、ひょっとして自分は今すごく気を遣われている?」と戸惑いました。上場準備中ってコンプライアンスやガバナンスのために今までやっていなかった事を事業部の方にお願いしないといけない場合が多くて、普通はケンカになるんですよ。忙しいときになんでそんな面倒なことをしなきゃいけないんだ、なんの意味があるんだよ、って。面と向かって「それはお前の仕事だろ。チッ」て言われたり(笑)よく前職や前々職では言い合いしてました(笑)

でもそういった取り組みって「上場するため」ではなく、「パブリックカンパニーとして会社をよくするため」に大切なことですし、それが実は後々「よい会社の土台」になるんですよね。それは前々職や前職ですごく経験しました。売上至上主義だった会社が上場準備をしていく過程で、だんだん働き方や環境整備やいろんな事を整備して、いわゆるホワイト企業になっていった経験をしたので、だからこっちも本気です。

ということで、カオスを覚悟して入社したんですが、蓋を開けてみると皆さんとても協力的。落ち着いてるし、強みと弱みをみんな冷静に捉えているなあって感じます。和田さんも執行役員や部長の方々もみんな優しくて冷静。ちゃんと会話ができるし、人の話を聞いてくれるし、誰もケンカ売ってこない! って思いました。

なんでもいいから「うちの会社で何かをしたい」を意識してほしい

―― アピリッツを成長させていくうえで、どんな人が必要だと思いますか?

いろんな人がいてOKな会社にしたいです。たとえば「定時で帰って合コン行きたい」って人だっているでしょ。いろんな働き方がありますから、そういうひとも会社には必要。

ただ、会社ってひとつの船だから、会社から求められた仕事をするのは大前提で、かつ会社のベクトルに沿ってないなら、それは考えないとですよね。会社がこっちに行きたいっていっているのに、そこには行きませんではバラバラになってしまいますから。もちろんベクトルを合わすために話をすることは必要です。そのベクトルがあっている前提であれば、どんな働く価値観でもよいと思っています。多様性って実は大事です。多様性がないと間違った方向にいった際に気づけないんですよね。

それと目的意識はあったほうが幸せだろうなと思いますね。目的ってなんでもいいんです、高尚な理由じゃなくて。よくキャリア本に書いてあるような「将来を見据えて点と点を繋げて~」なんて出来る人はそうそう居ません。そんなもの出来たら世の中の人みんな立派になってますよ(笑)目の前のことを一生懸命頑張るとか、やってみたいことをチャレンジするとか、それこそ「上場の鐘をカンカン鳴らしたい」とか(笑)それを繰り返した先に、やっていた点が繋がる時が来るんです。それが経験っていうんだと思います。これはジョブズもいってたから間違いないと思いますよ(笑)

ですから、「うちの会社で何かをしたい」を意識してほしいです。その目的を叶えるために、みんなで会社をそれが出来るように良くしていきましょう、って思います。自身のベクトルと会社のベクトルが同じなら、実は多少大変だったとしても目標に向かっている時って人間はつまらない事に捕らわれないです。

日々のささいな事が気になって、終わらない愚痴が続くのって、実は会社がどうこうじゃなく本人にとって不幸なことです。会社や仕事に費やす時間って人生で膨大なんですよね。であれば漠然と過ごすのではなく、目的もったほうがいいに決まってますよ。人生の2/3近くを漠然と過ごすなんてよく考えたら恐ろしい。

もちろん、仕事って楽しいことばかりじゃないですし、大変なことも沢山あります。でもその大変な事の先に達成があるわけで。ホントは「ありがとう」って言われたいけど、まあなかなか言われないですよね。だってその仕事任されてるんだからやるのは当たり前で。特に管理系にいたので、それはすごく体感しました。しかもミスなんてしたら逆にむちゃくちゃ怒られて酷いことをいっぱい言われる(笑) 

まあ後で「見てろよ!」って思ってましたけど。

永山さんが鐘をならすときは沢山写真をとろうと思いました。

ただ、大変だけど、目的のために突き詰めると面白くなったりします。ずっと体育会系でスポーツをしてきたんですけど、勝負事を楽しむには一定のレベルまでいかないと楽しめません。でも大変な中でいまやっていることは何に繋がる?って思うと意外に苦労に感じない。これって何の役にたつんだ?っていう人いますけど、実はそれって当人が決めつけてるだけなんですよね。または気づけてないだけ。無駄な事なんてひとつもなくて面白くするのは自分次第です。

業務でも人間関係も同様ですね。「苦手」や「きらい」を自分は否定しません。それは誰だってありますよ。相手の価値観否定したって何も変わらない。でも苦手な対象との関わり方は自分次第です。自分が折れると損した気持ちになるかもしれませんが、そんな意地を張って仕事がうまくいかないと結局自分にストレスがたまりますし。

そして、自分がやりたいことと、会社がやってほしいことが合致しているかどうか。求職者の方にはその目線で探していただきたいです。

相手がわかる言葉で「規程」を伝える

―― いま会社にいるメンバーに対して求めることは何ですか?

自分の思考を変えて仕事に取り組んでほしいなと思います。固定観念や過去に縛られて「どうせ無理」とか「以前からこうだから」、「ルールだから」や「NGを出されるのが怖い」といったマインドが少しあるかもなと客観的に思います。これは時間をかけてみんなでチャレンジする雰囲気を作っていきたいです。

年齢を重ねて思うのは、今まで自分が見てきた世界や会社なんてほんの一部だってことです。もっと沢山の世界はある。それに世の中も会社も常に変化しています。実際に当社だって上場準備するステージの会社になって、去年やっていなかった事をやってみたり、またやらなきゃいけなかったり。コロナだっていい例ですよね。コロナでいろんな事が変わってきてる。常に変化してる。

実は誰だって「変化」って大変です。めんどくさいことはめんどくさいですし、でも杓子定規に固定観念に捕らわれていてもうまくいかないことが多いです。じゃあそれを超えた先はどうなるんだ?って事をきちんと話をしながらやっていきたいですね。ちゃんと相手がわかる言葉で伝えて、腹落ちしてもらうことが大事です。

たとえば、規程を作って守ることは、実は社員だけじゃなく会社が法律違反しないためや、理路整然に動くためにはらなきゃいけないですけど、同時に、規程に興味を持ってもらわないといけないんです。「ココに、ルールが、書いてありますっ!」って言ったって、読むわけがないんですよ。だってみんな忙しいから。だから、どうしたら守ろうって思ってもらうか作戦や伝え方を考えないといけない。

規程を定めるのが仕事でなく、守ってもらうまでが仕事ですから。だから相手がどんな事を考えているのか?どんな状態なのか?じゃあそのために自分はどのような伝え方をしないといけないか?って考えて、伝えないと。そのためには自分が変化しなきゃですよね。自分の考え方に固執したって伝わらない。

だって考えてみてくださいよ、長く一緒にいる家族や恋人のことだって、なかなか変えられないし、分かり合うには話をたくさんするでしょ? それはみんな薄々気づいてるはずなのに、会社では不思議とやっちゃうんですよね、相手のこと見ないで、一方的に何もしないで「あの人、なんでわかってくれないんだろう?」って。そりゃ相手のことわかろうとしてないし、自分も相手にちゃんと伝えてないのだから実はそうなるのは当然なんですよね。

会社にいるのは、年齢も性別も経歴も育った環境も価値観も仕事もちがう、めちゃくちゃ赤の他人です。何もせずに「わかってくれる」なんてない。わかってもらうためには工夫が大切。そしてそれって実は巡り巡って自分のためになるんですよね。

会社って別に偉い人がどうこうしていくものではないです。みんなで一緒に作っていくものですよね。そしてその中でメンバー1人1人が目的を持てて活き活きしているのが会社も本人も幸せ。同じ会社で出会えたのだから、みんなでもっともっとよい会社にしていきたいです。その為には自分も含めてみんなが固定観念に捕らわれないでチャレンジする、相手の事を考えてコミュニケーションをとっていける環境にしていきたいです。もっとみんなを知りたいので声かけてほしいです。

―― ありがとうございました。最後に締めの一言を……!

「あの鐘を鳴らすのはあなた」(笑)

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