ホーム インタビュー 「組織もスキルも自分自身の壁をも超える。求ム、突破型DX人材」 執行役員 兼 DB部部長 長谷亘インタビュー
「組織もスキルも自分自身の壁をも超える。求ム、突破型DX人材」 執行役員 兼 DB部部長 長谷亘インタビュー
 

「組織もスキルも自分自身の壁をも超える。求ム、突破型DX人材」 執行役員 兼 DB部部長 長谷亘インタビュー

アピリッツの執行役員 兼 デジタルビジネス部・部長の長谷さんに、これまでの自身のキャリアと、これからアピリッツをどう成長させていきたいかを語っていただきました。どちらにも通じるキーワードは「垣根をこえようとする意志」です。(2020年 9月 取材)

エンジニアの会社にアナリストとして2008年新卒入社。0からのスタート

―― 長谷さんは新卒でアピリッツに入られたのですよね?

はい、2008年にアピリッツ(当時の会社名はKBMJ)に新卒で入社しました。当時は「Web2.0」といった言葉が流行った時代でした。懐かしいですね。SNSやブログ、ロボット型の検索エンジンなどのサービスが生まれては消えていく……慌ただしい時代だったなと思います。

私のキャリアですが、1~2年目は「アナリスト」です。アクセス解析ツールの環境を整備し、Webサイトの分析レポートを作成する職種です。その頃はアクセス解析ツール自体が有料で高価だったので、会社に導入するハードルが高く、珍しい職種でした。

さらに、当時の弊社はエンジニアによる開発業務がメインでして、アナリストは社内で私1人。つまり、サービスも、育成も、キャリアデザインも、何をするにも自分で考える必要がありました。

―― 会社初のアナリストとして、キャリアパスをゼロから考える必要があったのですね

そうですね。お客様のニーズに応え続けるために、周辺スキルの何を学び、実践し、ノウハウとしていくか。これを繰り返し考えるわけです。

で、次は「マーケター」を目指します。データを駆使することはアナリストと同じですが、お客様の課題や市場を理解し、Webマーケティング全般の知識と技術を活用してお客様のビジネス価値を上げるのがミッションです。

当時の時代背景を考えると必要な職種でした。ちょうどリーマンショック後で、IT・システム開発への投資に対して慎重な風潮だったのです。ですから、マーケティングの視点で費用対効果を示し、継続的に使えるシステムとして柔軟性や拡張性が問われていました。

そのため、理想論を提言して終わりではなく、お客様のニーズに合わせ、自社のリソースを使って実現可能かつスピード重視の提案を心がけていました。その流れで次の工程であるWebデザインの設計、進行管理・品質管理・制作などの「ディレクター」としての業務も担うことになります。

入社2~4年目の間は「マーケター」と「アートディレクター」を主な職能としていましたね。

マーケティングからデザインまでを繋ぐ一連のサービス提供が十八番

プロフェッショナルとゼネラリストの2つの道が交錯するキャリア

―― そこからは、現場の中心をはなれてマネージャーになったのでしょうか?

いえ、そうでもなくて。これが私のキャリアの少し複雑なところなんです。いわゆる職能(プロフェッショナル)といわれるスキルを積むことと、組織を作る(ゼネラリスト)としての経験が並行で進んでいました。

これは1年目のアナリスト時代から始まっていまして、同期2名を自分のチームに加え、サービスメニューを作り、営業を行い、同時にチームメンバーへの教育も行いました。事業の苗を育てていたのです。

―― あらゆる方面を同時進行で進めていたと?

そうですね。私のキャリアの強みはそこだと考えています。「縦と横の動きが激しい」。つまり、プレイヤー、ゼネラリストという「縦軸」。そして営業、マーケター、ディレクター、デザイナーという「横軸」。このすべてと関わってきました。

マーケターとしての仕事ではデザインの制作と設計が施策として一番実行しやすい。そうなると「デザインの仕事もアピリッツに発注したい」と言ってくださるお客様も増えてきて、デザインの仕事も増えます。

当時のアピリッツでは、デザイナーは、あくまでプロジェクトに点在しており明確なチームはありませんでした。そこでマーケティングの観点をデザインに込めることを強みとしたデザインチームを作り、そこの営業とディレクターを担当、入社4年目に部長代行、5年目からは部長、といった感じで動いています。

当時はがむしゃらで、とにかくお客様のニーズにお応えするために、そしてIT業界で自分がやりたいことを実現するために、気が付いたらチームメンバーが増えていきました。そして、多くの方にご協力頂きました。縦軸と横軸を行き来していたからこそ得られたチャンスだったと思います。

マーケティング・デザイン・エンジニアを繋げることが自社の強さを引き出す

―― 縦と横に広がるので、仕事の幅がどんどん大きくなるのですね

そうですね。今も昔も共通する私のスタイルは、お客様のニーズに応えるために必要なスキルを学び、サービス化し、チームを作り、営業をすることです。お客様のミッションをまっとうするために必要なプロフェッショナル集団を作ることでもあります。

例えば、お客様がWebで作りたいビジネスを実現するためには、「抽象的な要望」を「具体的な要件と仕様」に翻訳していくことが大切です。ここが難しく、ゆえに市場価値の高い工程です。

この翻訳ハードルが下がれはプロジェクトは効率化し、ミッション達成率も高くなりますよね。では、どうすればいいのでしょう?

答えはシンプルで、①ビジネス要件はマーケターが支援、②それをサービスとして目に見えるデザインにして翻訳、③システム側が読み取り、本来の力を十分に発揮してもらう

とてもシンプルです。ただ、これが簡単にできない。プロジェクトマネジャーの経験値や業務スキルも重要ですが、一番必要なのは「垣根を越えようとする意志」です。マーケティング・デザイン・エンジニアを繋げるパーソナリティが大切だと私は考えます。

長谷さんのキャリアパスをご自身で図解してもらいました

自分の役割を限定せず、別の職種のこだわりに興味を持つ

―― そういった素養はどうすれば身につくのでしょう?

とにかく「自分の役割を限定しない」ことが大切です。また、その職種や個人が持つ「こだわり」を理解し、コミュニケーションを行う能力も必要です。

極端な例を出しますと、「営業だから受注したら役目は終わり」、「デザイナー(エンジニア)だから、お客様のビジネス要件にはタッチしない」、「自分の考えたマーケティング施策が最上。あとは実現せよ」という姿勢では、お互いがけん制したり、言わなくてもわかっていると思っていた等、プロジェクトがミスコミュニケーションの巣窟になります。

そういうときは、自分も成長しづらく、プロジェクト内の課題も霧がかかったように見えづらい。一方で、そういう時ほど他人のミスは目につく……よくある負のスパイラルですよね。

―― 長谷さんご自身もそういった課題をもっていたのでしょうか

はい、もちろんです。私自身も垣根を突破しきれていません。

部長になった後(5年目~9年目)、次第に案件が増え、規模が大きくなり、コンサルタントとして提案できる幅が増えました。ただ、デザインまでの提案が多かったんです。開発の提案を加えることが少なかった。

これは意図的ではないですが、プロジェクトの中で、自分が把握できない業務が存在することに慎重になっていたのだと思います。つまり、自分のチームしか考えていなかった。会社に所属しているようで、会社の長年の実績や強さに背を向けていたのですね。

しかし、この課題は解消しつつあります。社内には多様な経験を持つ経営陣やプロジェクトマネージャー、ビジネスプロデューサーがいます。見本となる方々の思考と仕事に触れることで視野を広げることが出来ました。

もともと、会社の特性上エンジニアと一緒に仕事をする機会は多く環境はそろっていました。あとは自分自身の悪癖を理解し、突破するだけでした。

過去の自分らしさを捨てていける勇気が、DX時代では求められる

―― 自問自答の結果が現在のデジタルビジネス部でしょうか?

はい、まさに。開発チームをデジタルビジネス部に加え、お客様のミッションを共に達成するパートナーとしてのあり方を1つ実現できたと思っています。

ただ、まだまだ組織づくりの半ばではあります。2020年から担当している自社プロダクトであるSaaS事業の加速はこれからです。

10年目の2018年からは執行役員として職種の垣根を超えて、開発との融合といったミッションも担っています。自部署内での経験が、社内のマーケティング、デザイン、システム開発を一体化させたプロジェクト推進の架け橋となるべく動いています。

―― 他のメンバーにも長谷さんと同じような「縦と横を行き来する人」となってほしいですか?

はい、急募してます。正直、Web業界では様々なスタイルで働くことができるとは思いますが、会社のスローガンでもある「セカイに愛されるインターネットサービスをつくり続ける」を実現するために必要です。

もちろん、ひとつを深めていくことが自分らしさという人もいます。良いと思います。ただ、「過去の自分らしさを捨てていける勇気を持ったヒト」と働くとワクワクしますね。

なぜか。自分の仕事だけじゃなく、隣の仕事に興味をもって、色んな人と話せるようになると、プロジェクトの霧を晴らすことができるんです。自己成長のチャンスも訪れるはず。結果、それが自分らしさを更に引き立てることになる。素敵だなと。

私たちの会社を求職者の方に説明する際は「垣根をこえてチャレンジできる環境です」と言います。それは、自分自身が体現出来ているため自信をもって話せますし、社内で活躍する方もこの特徴を備えていますので事実です。

ですが、環境だけでどうにかなる話でもないんです。環境に加え、自分自身のパーソナリティと向き合い、それをどう克服するのかを自問自答することが大事かなと。

―― 長谷さんの「未来に向けた自分らしさ」はどのようなところだと思いますか?

悩みますね(笑)…そうですね、「この変化の激しいIT業界の荒波を悠々自適に乗りこなして楽しむ!」ってのができたら自分らしいかもですね。

業界として一般的になって長い「UX=ユーザーエクスペリエンス」という言葉があります。この魔法ワード、実は必要なスキルは明確なのです。それは、ビジネスとデザインとテクノロジーが重なり合ったところにあると言われています。

ですから、ビジネスに限らずデザインにも興味を持つ、テクノロジーでビジネス要件をどのように解決するかを考える、デザイナーがフロントエンドエンジニアの技術領域もできるようになる……。

こんなふうに垣根をこえて、2つ以上の専門ジョブを持つことができる方は、Web業界で需要が高い。と、同時に近年ではDX推進(デジタルトランスフォーメーション)を行う人材に求められていることでもあります。バイタリティをもってこの業界を渡り歩く武器となりえます。

どの時代においてもそんな人物像であることを確信しながら日々を楽しめると「自分らしい」と言えるかもしれません。

ビジネスとテクノロジーとデザインの重なる領域について触れたダイアグラム
引用:Oliver Reichenstein | flickr

社内のあらゆる壁を突破し、アピリッツのビジネスをデザインしたい

―― 執行役員として今後どのようなビジネスを形にしたいですか?

前提として、アピリッツにしかできない強みを社内に作り、世の中に向けて表現・提供することで企業価値を高めていくというのがあります。それを実現するために、業務の垣根を超え、組織のセクショナリズムを突破することでしかできないビジネスをデザインしたいですね。

いくつかある1つに、ゲームデザインの要素をWeb業界のビジネスに転用することを経営陣で考えています。「ゲーミフィケーション」といった概念の活用です。オンラインゲーム内でユーザーのモチベーションを向上させるといったゲームデザインのノウハウをサービス展開するのも良いですね。

社内外、事業、職種といった垣根を超えた先でしか表現できないサービスやプロダクトのアイデアは、周りに転がっている。こういったビジネスの種を仲間たちと一緒に企画・設計して、サービスページや営業媒体を作って、ビジネスに関わるデザイン全般を支援していきたい。

―― 最後に、長谷さんの思い描くビジネスを、どんな仲間と達成したいですか?

時代の変化も加速してきており、DX推進(デジタルトランスフォーメーション)がより一層求められてきています。そのため、スピード感をもって世の中の変化に追いつけるようなマインドを持った方と歩みたいですね。周りがガンガン動いているときって自分もやらなきゃって思いますよね。そういった相乗効果のあるチームを作っていきたいです。

また、チームリーダーの方には、自分でサービスを作る面白さを知ってほしいですね。アピリッツの職位にあるグループマネージャは中間管理職なんですが、弊社の環境も相まってとても面白い仕事です。自分が先頭に立って、やりたいビジネスを実現できて、現場で体験できるんです。そういうチャンスを一緒に掴む人を求めます。

社内アイデアをビジネスとしてデザインし、世の中に広げていければ、もっとアピリッツは成長しますし、意欲のあるメンバーのキャリアも築いてゆけます。組織、スキル、そして自分自身の壁をも突破して、横断的な動きでアピリッツの強みをつくり、発信していきたいですね。

―― 「自分らしさを捨てていける勇気」という言葉が印象的でした。アピリッツにはチャンスがたくさん待っていることを考えると、大切な姿勢ですね。またお話を聞かせてください。今日はありがとうございました!

長谷 亘(Wataru Hase) 
執行役員 兼 デジタルビジネス部部長
2008年にアピリッツに新卒入社。アナリスト、マーケッター、アートディレクター、営業、セミナー講師を経てマーケティング・デザイン事業を立ち上げる。300サイトを超えるデータドリブンに尽力し、ビジネスデザイナー、マーケティングコンサルタントとしてお客様のビジネス拡大に従事。 趣味はロードバイク(東京湾一周、琵琶湖一周など)と、エンタメ料理(キャンプ場でラーメンの麺からこねて、ガラと背油でスープをつくる)。

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