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火を出す能力について考える

この記事はアピリッツの技術ブログ「DoRuby」から移行した記事です。情報が古い可能性がありますのでご注意ください。

今回はファンタジー等でよく出てくる、火を扱う能力について考えてみたいと思います。

火を出す能力の特徴

 ファンタジー等で扱われている、火を出す能力の大まかな特徴は、
・体や体の一部から、または魔法などで火を発生させる
⇒自分が火になるわけではない(※火になる能力もありますね)
・水に弱い(消される、能力が発動しない)
ということになります。

火って何?

 そもそも火とは何か考えます。火は一言でいうと、物が酸素と激しく反応している現象です。詳細には、可燃物が光や熱を放出しながら、急激な酸化反応(酸素と結びつく反応)を起こす現象です。
 可燃物が燃え続ける条件について調べてみますと、
①燃料が燃えるのに十分な温度
②酸素
③次に燃える燃料
の3つが必要であることが分かりました。

火を出すには…

 水によって火が消されてしまう理由は、「水によって急激に熱が奪われることで、燃えるための温度に届かなくなってしまうこと」が原因です。
 物が一度燃え始めると、燃えることによって放出された熱で、次の燃えるために必要な温度に達し、連続して燃え続けられます。つまり、
十分な温度になる→燃える→発熱する→次のものが燃える→…
といったサイクルを繰り返して燃え続けています。
 従って、水に弱い能力者は熱を出すこと自体はできていないことが分かります。
 よって、水弱点の火の能力者が行っていることは、
①燃料を用意し、何らかの方法で発火させる
②燃料を供給し続ける
の2点であることが分かります。

人が火を出すための燃料

 次は人が出せる燃料について考察していきます。私が燃やすと聞いてすぐ思い浮かんだのは「体脂肪」です。調べてみましたところ、体脂肪が持っている特徴は
・体脂肪⇒水2割+脂肪8割
・脂肪1kg=7200kcal
・引火点は約400度程度
cal(カロリー)は1calで1gの水を約1度上昇させる熱の単位ですので、脂肪1kgでは、『0度の水72リットルを100度まで上昇させる熱量』となります。脂肪とはすさまじい熱量を秘めていますね。また、引火点の温度ですが、ライターの火花などは1000度にも達するそうなので、これらを使って引火させれば大丈夫そうです。

人が出せる火のパワーは?

 上記の試算は脂肪1kg当たりの話でした。では、一般的な人ではどのぐらいのパワーになるのでしょうか。「体重60kg、体脂肪率20%」の人の場合、体脂肪の2割は水でしたので、単純な脂肪の量は、
脂肪:60kg×20%×80%=9.6kg
これを全部熱に変換できた場合、実に最大700リットルもの水を沸騰させることが出来る、ということになります。
 あとは、脂肪を自在に体外へ放出&引火させることが出来れば、火使いの仲間入りです。普段はにっくき体脂肪ですが、自在に操れたら強力な能力者に成れそうですね。

おまけ①:水を出す能力について

 火の天敵として君臨する水を出す能力についても考えてみましょう。
 体内の水を利用して放出する場合について考察します。人は体重と比べて2%の重さの水を失うだけで、ひどく喉の渇きを覚えるそうです。さらに、体重の10%以上の水を失うと危険な状態で、死に至る場合もあるそうです。従って、人が放出できるギリギリの水分量が約体重の10%程度となります。
 つまり、体重60kgの人が出せる水は6kg=6リットルということになります。2%程度である、1.2リットル以下までであれば、比較的安全に利用できそうです。脱水症状には十分注意して使用してください。

火と水が戦ったら
前述のとおり、
火:最大700リットルまで沸騰させられるパワー
水:最大6リットル程度の放出
となり、人間同士が戦う上では火の能力の方が圧倒的に強そうですね。

おまけ②:ほかの火の出し方

 人が放出している可燃性のものと言えば、「屁」ではないでしょうか。調べてみましたところ、人が1日に出している屁は、体積にしておよそ1リットル程度であり、そのうち90%は空気中から取り込んだ、酸素や窒素等の気体のようです。
 仮に、残りの1割が全て可燃性ガスの「メタンガス」であるとしましょう。メタンガスは都市ガス等で日常的に用いられているガスの主成分であり、屁にも含まれているようです。
・メタンガスの熱量:9000kcal/m3
・1リットル:0.001m3
人間が出すメタンガス:0.1リットル⇒0.0001m3 ⇒ 900cal
ということで、コップ半杯程度の水100gの温度を9度上昇させることが出来る程度の熱量になります。これで戦うのは厳しそうですね。

終わりに

 今回は現実の人が火を扱う能力者になれる可能性について考えてみました。私はすでに燃料は十分蓄えているので、後は脂肪を自在に操る能力を身につけたいものです。
※放火は犯罪です。火の取り扱いには十分注意してください。

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