ホーム DoRuby CLIPSTUDIOvsPhotoshopここはこうなる仕様の違い②

CLIPSTUDIOvsPhotoshopここはこうなる仕様の違い②

この記事はアピリッツの技術ブログ「DoRuby」から移行した記事です。情報が古い可能性がありますのでご注意ください。

イラスト作成ツールのCLIPSTUDIOPAINTとPhotoshopの各ツールやコマンドの仕様を比較してみました。

 こんにちはtokinです。
 前回の続きでイラスト制作ソフト「CLIPSTUDIOPAINTPRO」と「PhotoshopCC」の仕様の比較を行いました。大きな違いは勿論ありますが同じツールで異なる仕様も多数存在します。この記事は私がイラスト制作を行っている最中に気づいた微かな違いをご紹介していきます。

前回の記事はこちらCLIPSTUDIOvsPhotoshopここはこうなる仕様の違い①

今回も引き続き比較対象は

  • セルシス CLIP STUDIO PAINT PRO(クリスタ)
  • Adobe PhotoshopCC2017(フォトショップ)

この上記二点のソフトです。
 ちなみに文の中にクリスタEXが登場しますがこちらはCLIP STUDIO PAINT PROをバージョンアップさせたCLIP STUDIO PAINT EX というソフトです。こちらはPROよりも更に漫画作成に特化しているタイプのものでPROの仕様に加え様々なシステムが加わったソフトとなっております。
それでは続いていってみましょう。

キャンバスに右クリック

 クリスタでは右クリックを押している間だけスポイトツールが、フォトショップの右クリックではブラシサイズ設定のタブが開かれます。右クリックの設定については今のところどちらのソフトもカスタマイズは不可能な様子です(クリスタは右クリックの無効化なら設定可能です)。ちなみにフォトショップで一時的にスポイトツールを使用したいときはブラシやバケツツールを選択した状態でAltキーを押すと、クリスタのように押している間だけスポイトツールに代わります。

レイヤーを別キャンバスに貼り付け

 クリスタでは別キャンバスにレイヤーを移すときはコピー&ペーストを行います。逆にフォトショップでは、キャンバスを二面開いた状態で移動させたいレイヤーをそのままドラッグ&ドロップすることで内容を移すことができます。勿論コピー&ペーストで移動することもできるのですがその際はまずコピーしたいデータを選択範囲に入れる必要があります。コマンドだとCtrl+A(全面選択)→Ctrl+C(コピー)→Ctrl+V(ペースト)でできます。ちなみにドラッグやペーストしてデータを移動させる際、shiftキーを押しながらペーストすると移動する前のキャンバスと同じ位置にデータを配置できます。

直線コマンド

 クリスタもフォトショップもShiftキーを押しながら直線を引くことができます。直線の始まりに点を打ち、そこから引きたい線の終点をShiftキーを押しながら打つと直線が描けます。クリスタとフォトショップの違いはクリスタの場合は終点を打つ際にどんな線が引けるかガイドが表示されるところ。これによって描く前の線の角度、長さや太さをよりイメージしやすくしてくれます。
 勿論コマンドではなく直線ツールそのものも搭載されています。クリスタでは図形のサブツール内に、フォトショップではシェイプツールの設定を「シェイプ」→「ピクセル」に変更すれば通常レイヤーに直線が引けます。

色調補正

 クリスタにも色調補正は備わっていますがフォトショップは圧倒的です。写真編集ならではの「自然な彩度」、「露出量」や「カラーフィルタ」など画像データをさらに細かく補正・調整できるシステムが備わっています。
 驚いたのは色調補正レイヤーの存在でした。作画したレイヤー本体の色調は変えることなく、全体の色調の調整のみを色調補正レイヤーで行えるのです。試しに色味を変えてみたり様々な色調補正を重ねたり…これらが全てレイヤーで管理できてしまうのです。補正レイヤーは複製することもクリッピングマスクをかけることもできるので特定のレイヤーのみの調整も可能です。結合すれば補正内容はそのまま適用されます。

フィルタ・アクション機能

 デフォルト状態のクリスタPROにもさほど多くはないのですがぼかしやシャープなどのフィルタが存在しています。更にバージョンアップしたクリスタEXでは有志のユーザーが作り出したフィルタプラグインを導入することができます。一方写真加工に特化したフォトショップに実装されているフィルタはとても多いです。フィルタ一つで一味違った雰囲気の画像にしてしまえるので単体で使ったり重ね合わせたりして使ってみたいもの。デフォルトで備わっているのでCDジャケットのようなスタイリッシュな画像まで簡単に作り出すことが出来ます。
 また、クリスタPRO/EX・フォトショップの両方に備わっているアクション機能もオススメです(クリスタではオートアクション機能と呼ばれています)。これを使いこなせばフィルタを使ったような画像加工も一発でできるのです。というのもこちらはソフトでの一連の作業を記憶し、必要なときに再びそれを利用できるようにする機能なのです。幾つかの工程を記録させればワンクリックでそれらを自動で実行してくれるので短い時間でクオリティの高い加工が行えます。クリスタもフォトショップも、DLできるフィルタプラグインやアクション機能がネット上に多数存在しておりますのでぜひ自分好みの機能を探してみてください。

レイヤー効果

 クリスタのレイヤー効果のうち注目したいのがトーン効果です。レイヤーで描いた部分をそのままトーンに変更できてしまうのでこれ一つで漫画作成で大変だったトーン作業がとても楽になります。色の濃度はそのままトーンの濃さに反映されるので濃さに合わせてドットの大きさも自動で調整してくれます。効果を外せばもとの状態に戻すこともできドット数やドットの形も変更できます。またバージョンアップされたクリスタEXのみの実装なのですが線画抽出のレイヤー効果もそのまま漫画背景にできそうな線を抽出してくれるので話題となっています。enter image description here
 フォトショップのレイヤー効果は「グラデーション」から「ドロップシャドウ」、「べベルとエンボス」など平面を加工するものから影をつけ立体にみせる効果などバラエティに富んでいます。その富み具合たるや直接描き込まずとも効果のみでも数段クオリティをあげたものことが作れるほど。レイヤー効果のすばらしいところは拡大縮小しても効果自体は荒れないところ。UIボタンなどのサイズを変更する可能性の高いデータには効果での演出もオススメです。
enter image description here

素材

 どちらのソフトにもネット上に豊富にありますが、クリスタは漫画作成向けソフトということもあってペンツール・トーン素材が特に多く、写真加工からはじまり色彩に強いフォトショップはブラシ素材が豊富な印象を受けます。クリスタはCLIP STUDIO内のサービスから素材を検索・配布・DLすることができ、DLしたものは全てクリスタペイント内の素材欄に表示されますので後はペンツール内にドラッグして読み込みが完了します。フォトショップは個々のサイトからDLしたabr.データをフォトショップのブラシパレットから読み込み取り入れます。また、サイトの他にもAdobeのもつ「Adobe Stock」というサービスもあり、こちらからも素材の検索やDLが可能です。色を塗ったり、線を描いたりするペン・ブラシツールの中でも煙や泡、花やサラダなどスタンプに近いバラエティ豊かな素材も登場しているのでぜひ探してみてください。

最後に

 いかがでしたでしょうか。最後に前回今回と書き連ねました内容を表にまとめました。
enter image description here
 個人の趣味、業務範囲で使ってみて感じたレベルなので掘り出せばもっとそれぞれの似た点便利な点たくさんあると思います。今回はどちらの設定もデフォルト状態での比較でしたが中にはコマンド設定で差が気にならなくなったりカスタマイズでより自分に合う使い方に仕様変更できたりします。ソフトを移行したときに混乱しない為にも是非自分好みのソフトにカスタマイズしてみてくださいね。それでは。

記事を共有

最近人気な記事